【 離婚調停の真実 】これを知らないと損をする!離婚調停10のポイントとは…?

 

1.離婚調停って一体どんなもの?

リリ子
ねぇちょっと~。
離婚調停ってもっと気軽に考えてたんだけど、難しそうじゃない?
ゴン太
確かに面倒に聞こえたり難しそうに聞こえるかもしれないね。
でも実は、そんなに難しくないし、結構分かりやすいものなんだよ
リリ子
そうなの?!私にもわかるかな・・・?
ゴン太
もちろん大丈夫!
離婚調停っていう難しそうな文字にとらわれずに、まずは下の説明を見てみよう

 

離婚調停の説明に入る前に、離婚件数の現状について少しご紹介しましょう。

平成28年に婚姻した夫婦は約62万組、離婚した夫婦は約21万組というデータがあります(厚生労働省「平成28年人口動態調査の概況」)。

約3組に1組が離婚しているというニュースをどこかで耳にしたことがあるかと思いますが、それはこういったデータからはじき出されたものです。

夫婦での話し合いによってスムーズに離婚する夫婦ももちろんいますが、夫婦での話し合いがうまくいかず、辛く大変な思いをしながら離婚調停や離婚裁判という手段を経て離婚する夫婦もまた多くいます。

あきらめないでひとつひとつ進んでいくことが大切です。

 

離婚調停とは正式には夫婦関係調整調停という手続きの一種

夫婦で離婚について話し合ったもののなかなか進まない場合や話し合い自体ができない場合に、第三者となる調停委員を交えて離婚とその条件についての話し合いを改めて行う手続きのことをさします。

調停委員は仲介役として、夫婦両者の関係を調整するために中立な立場で話し合いに入ります。

離婚調停を申立てた人のことを「申立人」、申立てられた人のことを「相手方」とよびます。
離婚調停は原則として、申立人が相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立て、その家庭裁判所で調停手続が行われます。

話し合われる内容

離婚調停で話し合われる内容は、離婚を前提として両者が合意できるのか、合意できる場合は慰謝料の有無や財産分与、年金分割、子どもがいるなら養育費の金額や支払期間などを決めて調停調書にします。


協議離婚でも離婚調停でも離婚裁判でも、たった一つこれだけは外せない離婚準備があります。
離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?

 

2.申し立てから成立・不成立まで~離婚調停の流れ~

リリ子
なるほど~。つまり話し合いってことね!
ゴン太
簡単に言えばそういうことだね。
離婚調停には、いくつかのステップがあるんだ。
リリ子
ステップ?流れってこと?
ゴン太
そうだよ。その流れ通りに進んでいくから、比較的分かりやすいんだ。
下の説明をみてみよう!

 

申立人が離婚調停の申立を家庭裁判所に行い受理されると、実質的な離婚調停のスタートです。

離婚裁判の場合は法律で定めてある離婚事由がないと離婚できませんが、離婚調停の場合はあくまでも話し合いですので、離婚事由は必要ありません。

離婚調停の流れ

離婚調停の流れは、以下のようになっています。

申立ての受理から2~4週間

申立の受理から2~4週間後に申立人・相手方双方に家庭裁判所から初回の調停期日の連絡があります。候補日の中から調整を行って、第1回の調停期日が決まります。


調停期日の確定

調停期日が確定すると、申立人・相手方双方に期日通知書が郵送できます。期日通知書というのはいわゆる呼び出し状ですね。「この日に第1回調停をしますから裁判所に来てください」という通知です。


第一回調停

第1回調停当日は開始時刻の少し前に待合室に入ります。

申立人と相手方とそれぞれ待合室は分けられていますので、事前に顔を合わせることはありません。

調停についても、相手方と顔を合わせたくないなら事前に申し出ることで同席を避けることができます。この記事では同席しないと仮定して説明します。


開始時刻になると申立人が先に呼ばれますので、調停委員が待機している調停室に入ります。調停委員は原則男女1人ずつの計2人です。

調停委員から離婚調停とはどういうものか、今後どのように進むかといった説明を受けた後、離婚調停を申し立てた理由や経緯を申立人が説明し、終われば退室します。所要時間は30分前後です。

次に相手方が呼ばれて調停室に入ります。申立人と同じく調停についての説明を受けた後、申立人の主張を調停委員から聞き、自らの主張を行います。

入退室を2回ずつ繰り返す

相手方が退室したら次に申立人が入室し、相手方の主張を聞いて自らの主張をし…というステップを2回、つまり30分を2回ずつ繰り返した後、次回期日を決めて終了します。

次回期日は申立人・相手方・調停委員の4人全員の都合と裁判所で調停が開かれる日とをすり合わせるため、1ヶ月~1ヶ月半後になるのが一般的です。


2回目以降の調停

第2回目以降の調停は、相手からの主張に対する回答と自らの主張という形を繰り返します。所要時間は毎回ほぼ2時間です。

注意点として、離婚調停に臨むにあたり夫婦間に子どもがいる場合はいない場合よりも話し合う項目が多く、また夫婦間では感情が冷めていても子どもへの愛情が深いともめやすいので、調停回数が増えると考えておくといいでしょう。

 

こどもがいる場合に追加されること

子どもに関する話し合いの項目として追加されるのは「親権」「面会交流」「婚姻費用」もしくは「養育費」です。

 

①親権

子どもを養育する権利が親権だというイメージがありますね。

実際には子どもを監護し教育する「身上監護権」、子どもの財産を管理する「財産管理権」、養子縁組や相続関係などの行為を子どもに代わって行う「身分上の行為の代理権」の3つの権利が組み合わさったものをさします。

一般的にイメージされる親権は身上監護権のことです。この権利だけを分離して親権者と監護者とを分けるケースも少ないながらあります。

 

②面会交流

子どもと同居していない親が子どもと定期的に交流する権利をさします。夫婦が離婚し他人になったとしても子どもと両親それぞれとの関係は変わらないため、家庭裁判所からは定期的な面会交流を積極的に勧める傾向にあります。

ただし申立人と相手方の対立が激しく面会交流の条件が折り合わない場合は、家庭裁判所の調査官が介入し、子どもの年齢や居住地などを考慮しながら双方に適切な面会交流の方法や条件を提示することがあります。

調査官とは家庭裁判所の調査官補として採用された後に2年間の研修で法律学や心理学・教育学を学んだ専門家です。状況によっては調査官が直接子どもと面会し、子どもの意見を聞くケースもあります。

ただし子どもへの暴力がひどい、面会交流時に連れ去りの危険性があるといった場合はこの限りではありません。

 

③婚姻費用もしくは養育費

婚姻費用とは離婚調停中(別居中)に収入の多い側が少ない側に支払う生活費をさします。

たとえば年収800万円の夫と専業主婦の妻が別居し、妻が子どもを監護している場合、子どものために同居中と同等の生活レベルを維持させる義務が夫に生じることになります。

婚姻費用はあくまでも離婚調停中に支払われるもので、離婚もしくは関係の再構築のどちらかの結果が出るまで支払い義務が発生します。

対して養育費は離婚後に非親権者が親権者に対して子どもが成人に至るまで支払うものです。たとえ離婚しても非親権者にも子どもの扶養義務があるためです。

婚姻費用も養育費も、基本的には国が定める標準算定表を参考に決定されます。

日弁連:養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言

裁判所:養育費・婚姻費用算定表

 

離婚調停の成立と不成立

このように話し合いの項目を踏まえて調停を繰り返し離婚調停はいずれ終了しますが、次の2つの結果のどちらかになります。

成立 夫婦両者が離婚やその条件について合意し、調停委員も離婚相当と判断した場合は成立となります。
不成立 調停でも話し合いが進まず、離婚に対する合意ができない場合は不成立となります。

 

不成立の場合は次のいずれかへと進むことになります。

①夫婦間で協議
②離婚審判
③離婚裁判

 

3.申し立ての際に準備が必要なものは?

リリ子
へ~!なかなかシンプルな流れだし、これならできるかも!

それで?!お金はどのくらいかかるの?
やっぱり高いのかな~?いやでもそんなに高かったら支払えないしな~・・・ブツブツ

ゴン太
そんなに慌てるなよ!
お金もあんまりかからないし、必要なものもそこまで多くないし、慌てなくても大丈夫だよ。
リリ子
ん??ほんと?
じゃあタダなの?
ゴン太
タダじゃないけど、自分で申立てれば安く済むんだ。
必要な資料も、そこまで複雑なものはないし、簡単に入手できるよ。

 

離婚調停を家庭裁判所に申し立てる際は、必要書類を準備します。

必要書類とは、戸籍謄本(全部事項証明書)、住民票(省略のないもの)、年収を証明するもの(所得証明書や源泉徴収票など)です

戸籍謄本以外は必須ではありませんが、最近は申し立て時に家庭裁判所から提出を求められることが多いのであらかじめ準備しておいた方がいいでしょう。

これらを後述する夫婦関係事件調停申立書と一緒に提出します。

 

4.離婚調停にかかる費用は?~自分で申し立てた場合~

「離婚調停」「家庭裁判所」といった言葉を聞くと弁護士に依頼しないといけないイメージがありますが、実は離婚調停は自分で申し立てることができます。

提出書類や家庭裁判所とのやりとりは自分でしなければいけなせんが、かかる費用をかなり抑えることができます。

弁護士に自分で離婚調停を申し立てる時は、まず家庭裁判所に「夫婦関係事件調停申立書」という書面を提出します。裁判所のHPから書式を無料でダウンロードできます。


①収入印紙:1,200円分
家庭裁判所に申し立て時に納めます。

②切手代:800円前後
裁判所から相手方に書類を送ってもらうために事前に支払います。金額は家庭裁判所によって金額が異なりますから、申し立てた際にいくら必要か確認しましょう。

③戸籍謄本:450円
申し立て時に家庭裁判所から必要書類として提出を求められますので、役所で事前に取り寄せておきます。費用は全国一律です。

④調停調書謄本用の収入印紙:150円
調停が成立した場合、離婚届や年金分割の手続きをする際に必要となります。一つの手続きで1枚必要ですから、離婚手続きと年金分割の手続きを両方行うなら300円必要です。

⑤送達費用:約1,000円
調停調書の正本を入手するには送達の手続きを取る必要があります。相手方に郵送で送達する場合の郵送代です。

⑥交通費その他
調停に出向く際の家庭裁判所までの往復の交通費が実費でかかります。調停が開かれる回数だけ必要です。また資料をコピーする必要がある場合は資料枚数分のコピー代がかかります。

まとめると・・・

調停が成立し終了するまでにかかる費用の合計は、3,600円前後+交通費の実費+コピー代となります。

 

5.離婚調停にかかる費用は?~弁護士を雇う場合~

リリ子
ふむふむ。自分で申立てれば安く済むのね!
じゃあ弁護士さんに依頼する場合はどうなるの?
ゴン太
弁護士さんに依頼するとなれば、やっぱりお金はかかってくるよね。
リリ子
・・・ですよね。
ゴン太
でも、弁護士さんに依頼すれば有利に進むことも多いし、
財産分与や養育費なんかの面で、予想以上に見返りがあるかもしれないよ。

 

離婚調停を自分で申し立てるのではなく弁護士を雇って依頼する場合は、基本的に申し立てからすべて弁護士に委任することになります。

そのため、かかる費用は弁護士に支払う費用ということになります。

離婚調停を弁護士に依頼するためには、1~2回の打ち合わせが必要です。

弁護士に依頼する場合

相談料は30分5,000円前後が相場ですが、事務所によっては初回無料の場合もありますので確認しておきましょう。


その他に弁護士に支払う費用は次の2つです。

① 着手金
弁護士に相談して依頼することを決め、弁護士も依頼を受けてくれることが確定したら依頼金として支払います。相場は15~30万円です。

② 報酬金
離婚調停が解決した場合にかかる費用です。離婚成立の基本報酬と、慰謝料や財産分与、子どもがいるなら養育費に関する報酬金が加わります。

相場は基本報酬が30万円前後、慰謝料や財産分与・養育費が受けられた場合はその金額の10~15%を報酬として支払うことになります。


東京ジェイ法律事務所(http://rikon-tj.jp/price/

着手金 離婚調停の代理人の場合
20~30万円
報酬金 離婚が成立した場合の成功報酬として
20~30万円
経済的利益がある場合
受取額の8~15%

 

東京中央法律事務所(http://www.chuolaw.com/

着手金 経済的利益300万円以下の場合
受取額の8%
報酬金 経済的利益がある場合
受取額の16%

 

河合安喜法律事務所(http://www.tokyo-rikon.com/116/

着手金 離婚調停の代理人の場合
20~30万円
報酬金 離婚が成立した場合の成功報酬として
20~30万円(±10万円)
経済的利益がある場合
受取額の10%前後

 

弁護士に支払う費用は事務所によって差がありますから、事前に大まかにでも見積もってもらっておくと支払額の目安がつくので安心です。

離婚調停の気にになる費用はこちらでも詳しく解説しています!
【1円でも安く】離婚調停の申立てに必要な全ての費用と4つの節減法

 

6.離婚調停は弁護士に依頼した方がいいの?~そのメリット・デメリット

精神的なストレスを強く受ける離婚調停。できれば早く、そして有利に進めて決着させたいのが本音ですね。

しかし自分で申し立てて調停委員を相手に自分の意見を上手に主張できるかとなるととても不安でしょう。「お金はかかるけれど弁護士に依頼した方がいいのでは…」と悩む人も多いのではないでしょうか。

弁護士に依頼する場合、メリットはもちろんありますがデメリットもあります。まずはどんなメリットとデメリットがあるのかを把握しておきましょう。


弁護士に依頼するメリット

まず、弁護士に依頼するメリットとして以下のようなものがあります。

 

①家庭裁判所に提出する資料の作成や調停時の主張を代理でやってもらえる

離婚調停の申し立て自体は簡単にできるのですが、いざ調停が始まると約1ヶ月~1ヶ月半に1回という頻度で家庭裁判所に出向くことになります。

その間何もせず待機しているわけではなく、調停で主張したいことや相手方の主張に反論したいことを書面にまとめ家庭裁判所に提出しなければいけません。

この書面は「準備書面」と呼び、主張が終始一貫していること、相手方の主張に反論する場合は説明とあわせて証拠書類を添付することが必要です。

法的な根拠が必要な場合もありますし、専門用語や法曹界特有の言い回しが多く、書面内容を理解することにかなり労力を使います。

また調停の席では調停委員に対してきちんと主張を論理だてて説明することが重要で、「とにかく嫌なんです」「もう無理だと思いました」などの感情的な主張は基本的に通りません。

こうした点を自ら対応するとなると、人によってはかなりのプレッシャーを感じることになり、ストレスによって仕事や日常生活にも影響をきたすケースが少なくありません。

これらの面を専門家である弁護士に代理でやってもらうことで、自らの負うプレッシャーはかなり軽くすることができます。

 

②精神的なサポートを受けられる

弁護士に依頼した場合、サポートしてもらえるのは実務的なことばかりではありません。

離婚調停という精神的にとてもつらい時期を一人で頑張るには限界がありますが、伴走してくれる専門家がいることで気持ちが安定しやすくなります。

話し合いの落としどころが見つからず調停が長引くと、ストレスに長期間さらされることになり、そのプレッシャーに負けて妥協したり譲歩してでも終わらせたくなるものです。

しかし特に子どもがいる場合、養育費の金額や支払期間というのは今後の長い生活の基盤を決める重要な項目で、一瞬の感情に負けて妥協や譲歩をしてしまうと母子貧困などの問題に直結してしまいます。

そんな時に冷静な目で状況を判断し、アドバイスしてくれる存在がいるかどうかは大きいと言えるでしょう。

 

③調停が不成立になった場合すぐ離婚裁判に進める

もし離婚調停が不成立になった場合、一人で進めているとそれまでのストレスから解放されたいという気持ちが働いていったん時間をおきたくなるものです。しかし時間をおけばおくほど解決は先の話になってしまいますね。

弁護士に依頼していれば、調停から裁判までの手続きをスムーズに進めてもらえます。結果的に早く解決できる可能性は高いと言えます。

 

④離婚の意思が固いと調停委員にアピールできる

離婚調停はあくまでも話し合いの場で、夫婦間で行っていたところに調停委員という中立的な立場の人が介入しただけの状態なので、一人でももちろん進めていけます。

しかし調停委員は相手方に離婚を強制的に勧めるといった権限を持っていませんから、単なる夫婦間協議の延長のようにだらだらと続く可能性はあります。

弁護士が調停に同席してくると、申立人の離婚の意思は固いのだということを調停委員に伝えることができますし、相手方にもその意志の強さが伝わって早期解決できる場合があります。


弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼するデメリットは以下のようなものがあります。

 

①弁護士費用が多くかかる

先にも述べたように離婚調停は一人でも進められます。弁護士を雇わないなら数千円の負担で調停を進めていけます。

しかし弁護士に依頼すると着手金や成功報酬として数十万円という多額な費用がかかります。そして依頼したら100%調停が成立するとは限りません。

年収が低い人のために弁護士費用を分割払いできる制度もありますが、費用の総額が多額になってしまうことは避けられないでしょう。

 

②対決姿勢を強めることになる

相手方に弁護士がついていてもいなくても、弁護士を雇った時点で強硬姿勢であることを相手方に表明することになります。

相手方も「争うということか!」と話し合いを放棄して、お互いを非難しあう形になることもあります。

こうなると調停委員は話し合いの意思がないと判断して不成立を提案してくることがありますから、諸刃の剣となるということをあらかじめ理解しておく必要があります。

 

③裁判前提の調停になりやすい

早期に離婚を成立させたくて調停を申し立てたにもかかわらず、弁護士によっては「調停で成立しなければ裁判に進めばいい」という前提で調停を進めるケースがあります。

これは弁護士の考え方によるところが大きいので、依頼人として調停での戦略について弁護士とよく話し合って進めることが大切です。

ケースによって弁護士に依頼するメリットとデメリットのバランスは異なります。「対決姿勢になってでも離婚したい」「費用はできるだけ抑えたい」など自分が何を優先するかにもよりますから、弁護士に依頼する前によく検討してみてくださいね。

 

7.離婚調停を有利に進めるための鍵は調停委員!

リリ子
弁護士さんが頼もしいことが分かったけど、やっぱりお金が・・・。

もし、弁護士に依頼せずに自分で進める場合、有利にするにはどうすればいいわけ?

ゴン太
そんな時に覚えておきたいのが、「調停委員への伝え方」だよ。

この調停委員への伝え方を知っているか知らないかで、大きく左右されることも・・・

リリ子
えっ?!そういうことは先に言ってよね!
損しちゃうとこだったでしょ~!!

 

「離婚調停の結果を自分の思うように持っていきたいから法律を勉強したほうがいいの?」という声を聞くことがあります。

もちろんそれも悪くはないのですが、調停でどのように話が進んでいくかによって関連する法律は違いますから、事前に勉強するのは時間の無駄とも言えます。

むしろ意識しておきたいのは、調停で直接話をする調停委員への対応です。


調停委員に対して申立人が求めることは、自分の主張を相手にしっかり伝えて説得してもらうことですね。そのためには自分が何を求めているのかが調停委員に伝わるよう、主張のポイントをはっきりしておくことが大切です。

離婚したい意思が強いのはもちろんですが、「慰謝料をこれだけもらいたいと主張する理由は〇〇です」「子どもの親権を得たいという理由は〇〇です」など、調停委員が相手方を説得しようと思えるような理由をきちんと説明することを意識しましょう。

また調停の短い時間では主張をすべて伝えきれない可能性を考えて、事前に陳述書を提出しておくのも有効です。調停当日には補足説明だけをすればいいように、あらかじめ自分の主張をまとめておくわけです。

陳述書もやはり「何を求めているのか」がはっきり分かるように書くのがポイントです。離婚の話し合いに入ったきっかけや話し合いが進まず離婚調停に至った経緯も含め、この調停でどんな結果を求めるのかを端的にまとめます。

注意したいのは

「客観的に説明すること」と「相手方を必要以上に貶めない」ことです。

こんな状況になったのは相手方のせいだということを言いたい気持ちは分かりますが、感情的な説明を入れても調停委員には伝わりません。

また相手方の言動を取り上げて非難するだけだと「冷静さを欠いている」とむしろ調停員の心証を悪くさせる危険性があります。

あくまでも冷静に淡々と、事実と要望だけをまとめることをおすすめします。


DVや浮気が原因の場合

離婚を考える原因が相手方のDVや不貞、つまり不倫だった場合は、DVや不貞があったことを裏付ける証拠を同時に提示します。

DVの場合は病院の診断書やケガの写真などです。

言葉で罵倒されるなどの証拠が取りづらいDVの場合は、日記などで「いつ、どんなことを言われたか」ということを残しておくと確定的ではありませんが証拠として認識してもらえることがあります。

また精神的苦痛を受けたとして精神科の診断書があるとさらにいいでしょう。

不貞の場合は不貞を裏付けるような写真や不貞を疑わせる主旨のメールなどが証拠になります。

相手方が不倫相手と性的関係をもったことを裏付ける写真、たとえばラブホテルに2人が出入りした写真などがもっとも効力がありますが、申立人本人がそういった写真を手に入れるのはかなり難しいでしょう。

ある程度不貞の確信があり、調査費用を出せる余裕があるるなら探偵事務所に依頼して調査することもひとつの方法です。

また相手方の行動を日々記録し、不審な点をまとめておくと夫婦生活が破綻していることを示す証拠になる場合があります。

 

8.長引くと精神的にぐったり…離婚調停の期間はどれくらい?

離婚調停の期間は平均半年と言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

「平成27年 司法統計年報3 家事編」によると、調停が成立したケースでも不成立だったケースでも、もっとも多かった審理期間は半年、ついで3ヶ月以内、その次が1年以内となっています。

裁判所「平成27年 司法統計年報 3 家事編

 

また調停回数で見ると、成立/不成立どちらのケースでももっとも多いのが3回、ついで2回となっています。

慰謝料の有無や子どもに関する条件の話し合いの内容など調停の内容はさまざまですから、1回の調停で終了するケースもあれば2年以上続くケースもあります。

慰謝料や財産分与、養育費といった金額について争っているケースはいずれも相場がほぼ決まっているため比較的短期に終了しやすいと言えます。対して離婚するかどうか自体を話し合うケースや親権を争っているケースは長期化することが多いようです。

 

9.離婚調停って途中でやめられるの?

リリ子
ちょっと!離婚調停が2年以上も続いたら、気力がもたないわよ!!
ゴン太
そうだよね。
離婚調停は人によって終わる期間が違うから、精神的に参ってしまう人も多いんだよ。
リリ子
もしもだけど・・・
長引きすぎたりうまくまとまらなくてうんざりした場合、途中でやめちゃっていいの?
ゴン太
大丈夫!離婚調停は途中でやめることができるんだ。

 

話し合いが堂々巡りでほとんど進まない、相手の出す条件に妥協する意思がまったくない、こういった場合は調停を繰り返してもほとんど意味がありませんので、途中でやめることができます。

調停を何度か行って合意できる可能性がとても低いという状況だと、裁判所側の判断で不成立となり終了します。また裁判所の呼び出しに相手方が応じない場合も不成立となって終了することがあります。

それ以外に申立人が取下書を提出し、取下げという形でやめることができます。

いったん調停の場から離れて再度夫婦間で話し合いたい、話し合う余地はないものの精神的に耐えられない、ひとまず別居で様子を見たいといった場合は取下げという手段をとるのもひとつの方法でしょう。

ちなみに、調停離婚が成立すると戸籍に調停で離婚したことが記載されます。

こんなケースもあります

調停を続ける中で「もう一度夫婦間で話し合えば結論が出そうだ」という状況になった場合は、戸籍に調停離婚したことを記載されないよういったん取下げ、協議離婚をめざすケースもあります。

 

10.離婚調停の体験談(成立/不成立)

では最後に、実際に離婚調停を行って成立したケースと不成立だったケースについてそれぞれの体験談をご紹介しましょう。


離婚調停が成立したケース

20代女性:Sさん

20代前半で結婚し、子どももすぐに1人生まれ、3年ほどはとても幸せな日々を送っていました。共働きでしたから家計に余裕もあり、「そろそろ家を買おうか」なんて話も出ていたくらいです。

しかし家庭円満だと感じていたのは私だけだったよう。ある日突然元夫から「離婚しよう」と言われたのです。本当に寝耳に水でした。そんな雰囲気はまったくなかったし、私にも子どもにも優しかったのです。

その翌日から元夫の帰宅が遅くなり、休日も早朝から出かけて翌日朝帰りするということが増えてきました。私や子どもへの態度も冷たくなりましたが、それでも子どものために我慢していました。

しかし当時住んでいた賃貸マンションの賃貸契約を勝手に解約していることを不動産会社からの電話で知り、元夫を問い詰めたところ逆ギレされたためついに私も離婚を決意しました。

ほどなく元夫は家を出ていきましたが、夫の言いなりになって離婚するのだけはどうしてもいやでしたから、市役所の無料相談を利用したり自分で調べたりしました。

その間に元夫や元夫の両親、私の両親も交えて話し合いをしましたが、元夫や元夫の両親は不誠実な態度を繰り返して話し合いになりません。

そんなことをしている間に別居期間が1年を超え、このままではどうにもならないと思ったので私から離婚調停を申し立てました。

子どもの親権でもめることはなかったのですが、養育費の金額でかなりもめて結局申し立てから成立まで7か月ほどかかりました。

言い方は悪いですが、調停委員が私に同情的だったのを利用してかなり感情に訴えた面はあります。

小さな子どもを一人で育てなければいけないという点を強く押して、こちらに重きを置いてもらうように話したのがよかったのかなと思います。

離婚調停が成立して現在2年ほど経ちますが、子どもがいますので面会で会わなければいけないのが苦痛です。今元夫がどこに住んで何をしているのかも知りませんし、知りたくもありません。

できれば早く再婚して子どもへの関心をなくしてほしいと思っています。

円満離婚という言葉をよく聞きますが、私の場合はまさに泥沼離婚でした。けれど勇気を出して調停を申し立てたことでほぼ納得のいく形で離婚することができたのでよかったですね。

今は子どもと二人で楽しく生活しています。


離婚調停が不成立となったケース

40代女性:Yさん

友人だった元夫と結婚して10年、元夫の転勤で知らない土地を数年単位で移る生活で多少のストレスはあったものの、2人の子どもと家族4人で楽しく生活していました。

そんなある日、夫が会社を辞めて専門学校に行きたいと言い出しました。2年通って資格を取り起業したいとのことでした。

私は独身時代からフリーランスで働いていて自営業に対する抵抗はありません。

しかし当時子どもたちが5歳と3歳、まだ手がかかる時期で仕事をセーブしていたため、夜間コースにして平日の日中はアルバイトをし月に10万円の生活費を入れること、私が仕事を増やす分元夫にも家事育児の負担を増やしてもらうことを条件に退職と通学をOKしました。

実際に通学が始まると、若い子に混じって勉強する環境が楽しくなってきたのか元夫は学生気分が日に日に強まってきました。

「課題が大変だから」と約束していた平日のアルバイトは週2日程度、生活費を10万円入れていたのは半年間だけで8万円、6万円…とずるずる減っていきます。

私も授業が大変なんだろうと思い、1年間ほどは自分の仕事を増やすことで生活費をカバーしていました。

しかし元夫が負担する家事育児が週2回のゴミ出しと日曜日の数時間の子どもたちの世話だけなのに対し、私は毎日仕事と家事育児に奔走して休みなどありません。

家事育児の負担を増やしてほしいと再三元夫にお願いしても一切拒否され続けていため、私から離婚を切り出しました。「子どもたちを置いてお前だけ出ていけ」と言われ決裂し、家庭内別居状態になりました。

その後私は2ヶ月ほどかけて弁護士に相談し、別居準備を進め、年末に実家に帰省するタイミングで子どもたちを連れて別居を開始。

そして年明け早々弁護士から離婚調停を申し立ててもらいました。

夫が離婚を断固拒否したので、離婚についての調停は3回目で不成立。その後約1年は子どもたちの面会条件と婚姻費用に関する調停を重ねました。

「自分は学生だから」と収入が低いことをアピールし婚姻費用の金額を極力抑えようとする元夫の態度には、調停委員も呆れていたようです。

面会と婚姻費用について条件が決まり調停が終わった直後に離婚裁判を起こし、元夫が裁判所からの和解勧告に従ったため提訴から約半年後に離婚が成立しました。

離婚成立までかなり長い時間がかかり精神的にかなりつらかったですが、弁護士が常に「大丈夫、一緒に頑張りましょう!」と励ましてくれたのがとてもありがたかったです。

今は子どもたちの成長が唯一の楽しみ。よくお手伝いもしてくれますし、3人で前向きに暮らしていきたいと思っています。


自分が参ってしまう前に、いますぐ行動しておきましょう。
離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?

 

11・まとめ

リリ子
いろんな経験をしてる人がいるのね。それに、思ったより離婚調停って分かりやすいかも。

私も今なら、有利に離婚調停を進めることができるような気がする・・・!
燃えてきた・・・!

ゴン太
そうなんだよ。みんな色々な状況を乗り越えて、幸せに生活することができているんだ。

リリ子さんのその自信は大切だけど、張り切りすぎないようにね。

 

離婚調停は夫婦での話し合いではまとまらない、結論が出ない時に利用する手続きのひとつですが、単に「離婚したい」という思いだけではうまく進んでいきません。

相手方はもちろん、仲介役である調停委員に対して「なぜ離婚したいのか」「夫婦生活を継続するよりも離婚することを選ぶ理由はなぜか」をはっきりと、強く主張することが大切です。

成立をめざすのはもちろんですが、相手があることですから不成立になる可能性も十分にあります。それを踏まえて事前にしっかりと準備し、気持ちを強く持って離婚調停に臨めるよう本記事をぜひ参考にしてください。

 

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