夫婦で話し合って、離婚の取り決めをしていって、合意できたら離婚できるんだよ。
でもそれってさ、夫婦のみの話し合いだから、多少なりとも情とか入ってグダグダになったりしない・・・?
離婚協議は、夫婦の話し合いゆえに失敗しやすいものだから、注意点と流れをしっかり理解しておくことをオススメするよ!
私もまだ離婚の方法決めてないから、その注意点と流れ、今ここでしっかり覚えておくわ!
離婚したいけれど、揉めるのはイヤ!一度は愛し合って結婚した相手だからこそ、別れるときに泥沼化させたくなと考える人も多いですよね。
立つ鳥跡を濁さずともいいますし、できればキレイに去りたいものです。
円満に離婚する一番の方法は「協議離婚」です。
その名のとおり、夫婦二人で話し合いをして互いに離婚に合意して別れる離婚のことです。
この話し合いでうまくいかないときや話し合いすらできそうにないときは、離婚調停や離婚裁判をすることになってしまいますので、費用がかさんでしまったり離婚までの期間が長くなったりします。
そうならないためにも、協議離婚の流れを頭に入れておくことはもちろん、失敗しないように進めるポイントもおさえておきたいところです。
後悔なく協議離婚を進めたい方は、こちらもあわせてぜひ読み進めてみてくださいね。
目次
1.離婚するための第一歩!協議離婚について知ろう
私もどの離婚方法になるか分からない以上、全部覚えて有利に進めてやるんだから!!
じゃあ、まずは離婚協議について、どんなものなのかを理解していこうか!
協議離婚は、先に紹介したように「夫婦間で話し合い、離婚に合意する」離婚方法です。
ちなみに、離婚裁判では、5つの法的理由に当てはまらなければ離婚することができません。
<5つの法的な離婚理由>
1.不貞行為した、された
2.悪意の遺棄(正当な理由もないのに夫婦で同程度の生活を保障してくれない場合)
3.一方が強度の精神病にかかった
4.一方の生死が3年以上わからない
5.DVや虐待、アルコール中毒などの病気や依存症、性交拒否、性格の不一致、犯罪などで夫婦関係が破綻している
これは、裁判離婚の際に必要となる、法的な離婚理由です。
ですが、協議離婚では、このような理由にあてはまらずとも、離婚することができます。
極端な話ではありますが、上記の理由に当てはまらなくても、「なんとなくお前がイヤ」「楽しくない」「なんか違う」といった一方的な勝手な理由でも離婚できてしまうのです。
また、話し合いをしたうえで、双方が合意しているのであれば、養育費を高額支払うのもOKですし、反対に払わないのもOKです。
財産分与や慰謝料、親権はどちらか、面会交流の取り決めなどに関しても同じことが言えます。
双方が合意しているのであれば、どんな条件でも提示できて、どんな条件でも離婚できてしまうのが「協議離婚」です。
これは、メリットでもありデメリットでもあるので、協議離婚をしたいと考えている人は、慎重に進めていくことが大切です。
たとえば養育費や慰謝料は、調停離婚や離婚裁判の場合、裁判所が使用している算定表を基に金額が決められますが、協議離婚では1,000万円でも1億円でもよいのです。
しかし、相手がOKと言っても、本当に払うのかどうかはわかりません。
また、支払い困難になっても差し押さえが行えないため、泣き寝入りすることになってしまう可能性もあります。
こうならないためには、法外な金額を請求せずに、常識の範囲内で取り決めをすることが重要になってきます。
離婚した後に「もっと低い金額で請求すればよかった」、「もっと自分に有利な条件にしておけばよかった」と後悔することをさけるためにも、協議離婚の進め方や準備についての知識を身につけていきましょう。
2.知っておくべき!協議離婚の進め方
旦那に1,000万円の慰謝料を請求するとか、やってみたいわ~!
決める時には、ある程度現実的にね。
同時に、協議離婚の進め方も、しっかり頭に入れておくことをオススメするよ。
「もう相手の顔を見るのも声を聴くのもイヤ」となるほどに相手を拒絶したくなる人もいると思います。
しかし、ここで焦って条件を決めたり、離婚後の生活のシミュレーションができていないと、離婚後に揉めることになってしまったり後悔したりするかもしれません。
条件の取り決めを曖昧にしたまま離婚届だけを先に出して別居する例もありますが、離婚後に養育費や面会交流、慰謝料の話をしても応じてくれない可能性があります。
後悔なく、幸せな気持ちで離婚するために、面倒ではありますがキッチリ決めて、すべてクリアにしてから離婚届を出しましょう。
協議離婚のおおまかな流れは以下のとおりです。
①離婚を切り出す前に条件を決める・証拠を集める・財産を把握する
②離婚後の生活をシミュレーションする(就職・転職・収入・生活費についてなど)
③本当に離婚して後悔がないか再考する
④相手と話し合いをして、条件をすり合わせていく
⑤合意ができたら公正証書を作成する
⑥離婚届を提出する
①離婚を切り出す前に条件を決める・証拠を集める・財産を把握する
離婚を切り出す前に、自分だけで「専業主婦だから、仕事を決めてから別居して、それから離婚できると嬉しい」、「養育費は月5万円くらい、大学に進学させたいから22才までもらいたい」などと具体的な条件を決めておきましょう。
また、DVや不倫、浮気、モラハラがある場合は証拠集めも大切です。共有財産があるときも財産分与のため、相手の財産を把握しておきましょう。協議離婚なので、慰謝料や財産分与の分配も自由に決められます。
養育費や婚姻費用の条件を決める
別居するなら「婚姻費用」を、子どもがいるなら「養育費」を請求することができます。
協議離婚は、相手が合意してくれれば、好きな金額を請求できますが、あまりにも高すぎる金額を請求してしまうと、支払われなくなってしまうこともあるため、算定表を使ってみましょう。
算定表は、「養育費・婚姻費用算定表(現算定表)」と「新算定表」の2種類があります。
例1)
夫:年収500万円
妻:専業主婦
子:5歳
現算定表:養育費4~6万円、婚姻費用8~10万円
新算定表:養育費11万円、婚姻費用16万円
例2)
夫:年収400万円
妻:年収200万円
子:5歳
現算定表:養育費2~4万円、婚姻費用4~6万円
新算定表:養育費6万円、婚姻費用8万円
上記のように、養育費や婚姻費用に大きく差が出ます。どちらを参考にしても良いので、相手が支払いできそうな金額、且つ自分が欲しい金額を計算してみましょう。
算定表のような基準が1つあることで、相手に金額を納得させやすくなりますよ。
参考・参照:「養育費・婚姻費用の算定表」「新算定表」
DVやモラハラ、不倫の証拠を集める
DV、モラハラ、不倫などの証拠は、離婚を切り出した時に証拠隠しをされる可能性があるので離婚前に集めておかなければなりません。
DVやモラハラの場合は、暴力を受けたときに病院へ行き診断書をもらっておきましょう。
モラハラの場合は精神科の診断書でOKです。
暴力でできてしまった傷を写真に収めておくことも重要な証拠になるので、忘れずに。
DVやモラハラに当てはまるかわからない状況だとしても、自治体で用意しているDVやモラハラの相談機関に電話してみるのがおすすめです。
DVやモラハラであると判断された場合、妻や夫の名前や住所、相談した日を記録にとっておいてくれるので、証拠になります。
あなたが次どのように動いていくと安全なのか、身の振り方もアドバイスしてくれますよ。
不倫や浮気の証拠集めは、できれば自分で行わない方が良いです。
夫婦で話し合いをするとたいていの場合、相手は認めません。
そのまま離婚調停や裁判になる可能性も出てくるので、調停や裁判で証拠と認められる「不貞行為(性行為)があったことを証明できる写真や動画」を持っておく必要があるからです。
不貞行為があったという証拠は、自力で尾行するなどで集めるのが非常に難しいです。
探偵などの専門家に依頼して、確実な証拠を掴んでおきましょう。
また、メールやLINEのやりとり、不審なレシートなども写真に撮っておくと便利です。
確実な証拠にはならないですが、事実を裏付けることができるので有利になります。
財産を把握する
夫婦の共有財産を把握するのも、できれば離婚前が望ましいです。離婚を切り出してから財産隠しをされた場合、相手に財産を少なく言い渡され、そこから折半という話になりかねないからです。
夫の通帳(支店名も含む)のコピー、相手のお金の使い方などを観察しておきましょう。
また、車や家のローンは誰名義なのか、いくら支払いが残っているのか、離婚した場合はどちらが持つのかなども考えておくことが大切です。
②離婚後の生活をシミュレーションする
離婚前に1度、離婚後の生活をシミュレーションしておくことが重要です。
ざっくりした考えて離婚に踏み切ってしまうと、「思っていたよりも養育費が少なかった」、「思っていたよりも稼げなかった」などで生活苦に陥るケースがあります。
相手と一刻も早く離婚したい、顔も見たくないという状況でも、しっかりシミュレーションしておきましょう。
考えておくことは以下の4点です。
1.子どもについて
- お子さんの親権をとるのはどちらですか?
- 親権をとった場合、保育園や学童保育など預け先はありますか?
- 緊急時にお願いする両親や親せき、サービスなどの手配はできそうですか?
2.住居について
- 住む場所は今の家ですか?
- 実家に帰るなら、両親と話はしましたか?
- 引越しするなら、どこに引っ越すか決めていますか?
- 引越し費用を計算してみましたか?
3.仕事について
- 就職や転職は具体的にいつから行いますか?
- 子どもの急な発熱や病欠に対応してくれますか?
- 給料日はいつですか?
- それまで生活できますか?
4.お金について
- お金はどうやって貯めるのですか?(同居したまま離婚前に貯めた金額は共有財産になります)
- 今の生活を続けながら貯金はできますか?(別居すれば全額自分の財産として認められます)
- 生活費は自分の給料だけで足りますか?
③本当に離婚して後悔がないか再考する
条件や証拠、財産分与について考え、生活のシミュレーションを行ってみて、離婚を本当にするべきかどうかを考えてみましょう。
協議離婚は話し合いがメインの離婚なので、「絶対に離婚する」という強い意志が無ければ、「やっぱり・・・」と情に流されてしまう可能性があります。
離婚は、調停離婚でも協議離婚でも心身ともにかなり疲れてしまいます。
精神的な負担が大きくなるため、離婚うつになってしまう人もいるほどです。
「必ず離婚したい!」と思っているなら、離婚を切り出す前から強い意志を持っておきましょう。
④相手と条件をすり合わせる
条件を決め、証拠を集め、シミュレーションを済ませて確固たる意志で離婚を決意してから離婚を切り出しましょう。
離婚の意志を伝えるときは、あらかじめ避難できる場所を用意しておいたり、家の中の刃物を隠しておく、ショッピングモールのフードコート、カフェなど人目のあるところでするのがおすすめです。
DVやモラハラのない相手でも、離婚と聞いて正気を保てずに手を出してしまうこともあるからです。
冷静に話し合えそうならば、自分が考えておいた条件を提示し、合意へと持っていきましょう。
慰謝料・財産分与・年金分割、子どもがいる場合には親権・養育費・面会交流、別居する場合には婚姻費用について話し合っていきます。
⑤合意ができたら公正証書を作成する
冷静に話し合った結果、お互い合意できる条件が決まったら公正証書を作成しましょう。
公正証書とは、話し合い(協議)や調停で決めた養育費や慰謝料のとりきめなどを証明するための公文書のことです。
協議離婚で離婚後の条件を決めたものは離婚協議書と呼ばれていて、後に養育費や婚姻費用、慰謝料の支払いが滞った際などに信憑性の高い証拠として扱うことができます。
公正証書には、「債務者は、本公正証書記載の金銭債務を履行をしないときには、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」という文言が公証人によって記載されるので、支払いが滞ったときに差し押さえなどの強制執行を行えるようになります。
公正証書は、公証役場に行き、慰謝料や養育費の金額に合わせた料金を支払って公証人に作成してもらいます。
事前に離婚の条件について紙にまとめて持っていけば数時間、すべて公証人に任せるなら数日間の期間がかかります。
費用と日数がかかったとしても、裁判を起こさずに強制執行を申し立てられるので、作成しておいた方が安心です。
⑥離婚届を提出する
すべての事柄を決め終えたら、離婚届に署名・捺印のうえ提出します。
協議離婚の場合は、婚姻届けのときと同じように20歳以上の証人が2人必要です。
証人となるのは誰でもOKなので、妻や夫のどちらかの両親にお願いしても良いですし、双方の両親にサインをもらっても良いです。
誰にも迷惑をかけたくない、離婚のサインを頼むのが億劫という人は、証人のサインをしてくれるサービスもあるので利用してみてましょう。
勝手に離婚届を出されたら困る人は離婚届不受理申し立てを!
離婚届を勝手に提出されたとしても離婚は成立します。話し合いの段階で「やっぱりもう少し考え直そうかな・・・」と意志がぐらついていても、相手が離婚届を出してしまうと離婚となるので、離婚の取り消しをしなければならなくなります。
相手が勝手に離婚届を出した場合は、あなたのもとに離婚が受理されたという旨の手紙が届きます。
手紙の内容を確認したうえで離婚を取り消したい場合は、離婚無効確認調停を申し立てることになります。
離婚届を勝手に出されないために、離婚届不受理の申し立てを役場に行うのもひとつの方法です。
離婚届不受理になると、申し立てた人(あなた)が離婚届を提出するか、取り下げ書を提出しない限り協議離婚は認められなくなります。
ただし、離婚届不受理は協議離婚に対して有効なものなので、調停離婚や離婚裁判となったときには離婚となってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
3.協議離婚で話し合うことには何がある?
この進め方を知らないまま離婚してたら、悲惨な目に遭ってたわ。
やっぱり流れを理解していないと、離婚に向けての準備もできないからね。
流れはわかったけど、具体的になにを話し合って合意すればいいの?
話し合いの中で、一番重要なのは、そもそもお互いが離婚に合意しているのかどうかです。
合意が得られなくては、協議離婚はできません。
一方が離婚を拒否している状態で、法的に離婚が認められる理由(不貞行為、悪意の遺棄、強度の精神病、夫婦関係の破綻、3年以上生死がわからない)がある場合は、調停離婚や離婚裁判を申し立てましょう。
夫婦の合意なければできない協議離婚では、まず合意することが第一歩になります。
◆合意を得て話し合いをする場合
話し合いでは、まず以下のことを決めていかなければなりません。
- 子どものことについて(親権・養育費・面会交流)
- お金のことについて(財産分与・慰謝料・婚姻費用・年金分割)
親権
親権は、未成年の子どもの養育や監護をする義務を果たすものに与えられる権利です。親権には「財産管理権」と「身上監護権」があります。
財産管理権は、子どもの財産を管理する権利、法律行為の同意権のことで、「身上監護権」は、身分行為の代理権(養子縁組や婚姻などを決める権利)、居所指定権(住む場所を決める権利)、懲戒権(しつけをする権利)、職業許可権(子どもが就職することを認める権利)のことです。
親権は通常2つの権利をまとめてどちらか一方の親に与えられますが、やむを得ない理由がある場合は「親権」と「身上監護権」のように切り離して定めることもできます。
面会交流
親権を持っていない方の親が、子どもに面会する権利を面会交流権といいます。
親権を持っていない親のための権利と考える人もいますが、面会交流は子どもにとって有益であることが前提となるので、子どものための権利と考えられます。
子どもの精神状態や相手方との関係性から面会の頻度を考え、日時や場所、面会時間や付き添いの有無、学校行事へは賛歌するのかどうかなどを細かく決めていきます。
協議離婚では、面会交流について話し合いで決めますが、公正証書を残していない場合、面会交流を拒否されたり、約束外の面会をされる可能性があります。
そのようなときは、面会交流調停で正式に内容を決定することも可能です。
財産分与
婚姻関係にある状態で築き上げた財産を共有財産といいます。離婚時には、この共有財産を折半することは一般的とされています。
調停離婚や離婚裁判の場合、すべての共有財産を折半しますが、協議離婚は、話し合いのうえ、合意できれば折半ではなく好きな割合で分け合うことができます。
また、結婚する前に貯金していたお金は共有財産には含まれないので、自分の財産として持っていてOKです。
慰謝料
協議離婚の場合、「不貞行為」、「悪意の遺棄」、「DVやモラハラ」、「夫婦関係の破綻」で精神的・肉体的苦痛を受けたときに請求できることになっています。
不貞行為では100~500万円、悪意の遺棄で50~300万円、DVやモラハラで50~300万円、セックスレスなどの夫婦関係の破綻で100~300万円が慰謝料の相場とされています。
協議離婚は、相手が合意するならばいくらでも請求して良いことになっていますが、あまりにも高すぎる金額を要求すると話し合いが進まなくなったり、支払いが滞ったりする可能性が高くなるので注意しましょう。
婚姻費用
夫婦には「同じような生活のレベルで暮らす」義務があります。別居した場合、どちらか一方の収入が少なく、相手と同等の生活を送れなくなる可能性が出てきます。そのときに利用できるのが婚姻費用の請求です。
すでに別居している場合、さかのぼって請求することはできませんが、婚姻費用請求を行えば、認められた時期から相手に婚姻費用を請求することができるようになります。
相手の収入と自分の収入に応じて金額が変わってきますので、婚姻費用を算定する算定表を参考にすると良いですよ。
もちろん、協議離婚は好きな金額を要求できます。
相手が支払えそうで、且つ自分が満足できる金額を請求しましょう。
年金分割
親権や養育費、面会交流の話は子どものことだからと割り切って話せても、お金のことを話し合うのは、イヤだと感じる人もいるかもしれませんね。
相手がお金の話面倒くさがり、話がなあなあになってしまうことも。
しかし、面倒で、ここでキッチリ決めてから離婚しないと、離婚届を出した後に話し合いの場を設けたり、諦めたりしなければいけなくなります。
話を持ち掛けても、「離婚したんだからもう関係ない」と言われてしまい、後悔してしまう可能性もあるんです。
ひどいケースでは、相手が会社を辞めていて行方不明になってしまうことも・・・!
そうならないためにも、離婚前に取り決めを行い、公正証書(離婚協議書)を作成して証拠を持っておく必要があるんです。
◆話し合いにならない場合は?
離婚についての話が進まない場合や、別居していて話し合いの時間がつくれない場合はどうすべきでしょうか?
また状況によっては、そもそも話し合わなくていいケースもあります。
まずは、話が進まない場合と話し合わなくていい場合についてお話しします。
相手がこちらの言い分に突っかかってきて進まないといった場合では、DVやモラハラが関係していることが多いです。
DVがある場合は特に、話し合いをしようとするだけで暴力や暴言など、危害が加えられることも・・・。
このようなケースでは、いくら離婚したいと伝えても、相手がそれに応じることは少ないです。運よく離婚に合意したとしても、条件を全く聞いてくれない可能性もあります。
さらにモラハラですと、「だからお前はダメなんだ」、「お前がそんなんだから、うまくいかないんだ」と言われて延々と説教されることも。
このように、夫婦間で主従関係のようなものができている場合、意見を言えない場合は、夫婦の話し合いはできません。無理に頑張ってしまうと、あなたの気が持ちませんよね。
DVやモラハラがあるならば、離婚の意志を伝えるという段階を飛ばして別居を行い、離婚調停を申し立てるのが安全です。
また、弁護士を挟むことで話し合いがスムーズにいくケースもあります。
別居や離婚調停を申し立てることで、相手に離婚の決意は本物であることを伝えられますし、相手の態度が変わる可能性もあります。
また、話し合いをしようとしたけれど、出ていってしまって連絡が取れなくなることもあります。そういうときは内容証明による協議離婚の申し入れもできます。
いきなり内容証明を送ると相手があまりよく思わない場合もあり、離婚についての話し合いが進みにくくなることもあるので、相手の性格などを考えて注意して行いましょう。
DVやモラハラのない相手でも、話し合いに応じない、合意しない場合も同じく、離婚調停で話し合いを行い、離婚に合意できるように進めていきます。
◆別居している場合は?
離婚条件を決めたら、離婚の意志を伝えるため相手に連絡することになるります。
別居しているときは、電話やメールでの連絡がとれるのであれば、メールや電話、手紙がおすすめです。
また、内容証明を送って離婚協議の申し入れを行うのもひとつの手です。
内容証明を送ること自体が威圧的であると捉えられる可能性もありますので、強硬な手段を取ってしまうと、相手の態度が硬化し、話し合いが全く進まなくなることも・・・。
相手に連絡をしてOKが来たら、離婚の話し合いをする方法を決めます。
できれば、カフェやショッピングモールのフードコートなど人の目があるところをおすすめします。
人に聞かれたくないからと家で話すと、暴力やモラハラの被害を受ける可能性があるためです。
普段DVやモラハラのない人でも、離婚の2文字を告げるだけで豹変してしまうケースもあります。細心の注意を払って話し合いを進めましょう。
話し合いがうまく進むのであれば、お互いが希望する条件を聞き、合意点を探っていきましょう。
4.協議離婚に失敗しないための5つのポイント
そんなにたくさん話し合ううちに、そりゃ情もわいてくるわよね・・・
話をしているうちに感情的になってしまって、ただの夫婦喧嘩になってしまうこともあるからね。
・・・あ、じゃあお互いの親に同席してもらうっていうのはどうかしら?
協議離婚を進めていると、「離婚についてもう一度考え直そうと思ったのに離婚届を提出されてしまった」、「親戚中で大騒動となり、泥沼化してしまった」というトラブルが発生してしまうこともあります。
このような失敗をしないためには、何に気をつけるべきでしょうか?
以下の5つのポイントをおさえておきましょう!
1.取り決めは公正証書にすること
2.両親や親戚は間に入れない、同席させないこと
3.離婚の犯人捜しはしないこと
4.離婚届を勝手に出されないようにすること
5.感情的にならず冷静に進めること
1.取り決めは公正証書にすること
取り決めを口頭で行うと、「言った、言ってない、聞いた、聞いてない」と後々揉めることがあります。
公正証書(離婚協議書)にまとめておくことで、それらのトラブルを予防できます。
2.両親や親戚は間に入れない、同席させないこと
結婚の合意をしてもらったのだから「離婚のときも相談すべき」と考える人もいますし、自分の両親に味方してもらおうと両親を間に入れるケースもあると思います。
どちらの両親も自分の子どもの味方になってしまうのは当然のことです。
お互いの子どもを守るために、両親が喧嘩になってしまうなど、話がこじれて余計に進まなくなることも。
我が子が困っていると聞くと、親は「相手は悪」と考えてしまいトラブルに発展してしまうのです。
また、両親や親戚があれこれ意見を述べてきたときに、「身内は関係ないだろう!」「あんたにそこまで言われる筋合いはない!」と強く言い返し、関係そのものがこじれてしまう可能性もあります。
そうならないためにも、できれば両親や親戚は間に挟まないようにしましょう。夫婦での話し合いが難しいなら、弁護士などに相談するのがおすすめです。
3.離婚の犯人捜しはしないこと
離婚の原因は誰か犯人捜しをしてしまうと、「あのときこうしなかったお前が悪い」「自分のせいだ」と話が複雑になったり、相手の態度が一変して離婚の話し合いに応じなくなってしまう可能性があります。
犯人捜しをすることで、お互いが感情的になってしまうからです。
冷静に話し合うためにも、犯人捜しはせずに、淡々とお互いの条件をすり合わせていくようにしましょう。
4.離婚届を勝手に出されないようにすること
離婚届は、基本的に夫婦で役所に提出することになっていますので、一方が離婚届を出した場合は、あなたのもとに離婚が受理されたという旨の手紙が届くようになっています。
勝手に出されたのであれば、離婚無効確認調停を申し立てましょう。
離婚届を勝手に出される恐れがある場合は、離婚届不受理の申し立てを先に行うのもおすすめです。
5.感情的にならず冷静に進めること
感情的になることで、話が前に進まなくなる可能性が高くなります。淡々と話をしていかなければ、離婚する前に疲弊してしまいます。
離婚の強い意志と自分の条件を淡々と伝えるだけでOKです。
5.協議離婚を有利に進めるためのコツ5つ
親を同席させちゃうと、「わが子が正義!」になっちゃうのか~。
夫婦のことに口を挟まれて余計におかしくなることもあるからね。
それに、感情的にならないことはとても大切だよ、リリ子さん!
・・・ん?あ、私ね。
感情的にならないように、気を付けます!
それじゃあ次は、自分が有利に離婚協議を進めることができるようにするためのコツを見ていこう。
協議離婚は夫婦での話し合いで条件が決められます。取り決めなどは口頭で話していると、後々守られなくなってしまうことが多いので不利になってしまう可能性があります。
特に、金銭的な内容、面会交流については、守られないと損をしたり不快な思いをしたりするので公正証書(離婚協議書)に残しておきましょう。
養育費・慰謝料などは、支払いが滞るケースも多く、一番損しやすい点なので確実に証拠を残しておきましょう。
ちなみに、養育費を支払い続ける人は19.7%しかいないのです。途中で支払いが止まるならまだしも、最初から支払いをしてこない人もいるので、不利にならないためにも、ポイントをおさえておく必要があります。
- 話し合う内容を理解し、先に条件を決める
- 最初に請求する金額は高く、後から下げていく
- 最後の我慢だと思って、相手のことをほめて感謝する
- 平等な関係だということを印象づける進め方をする
- 感情的にならないようにし、冷静に進める
【その1】話し合う内容を理解し、先に条件を決める
あらかじめ話し合う内容を決めておき、相手に質問されても答えられるように準備しておきましょう。
そうすることで、曖昧な条件を提示してしまったり、相手に有利な条件にすり替わってしまったりすることを防げます。
また、こちらが具体的に条件を決めておき、それを提示することで、相手に一歩リードされた感を与えることができます。
さらには、しっかり考えているということを伝えることもできるので絶対に先に条件を決めておきましょう。
【その2】最初に請求する金額は高く、後から下げていく
相手に要求する慰謝料や養育費、婚姻費用などは、高めの金額にしておくと有利です。
そのまま相手が合意すれば、希望以上の金額を手に入れられますし、却下された場合でも、少しずつ金額を下げていくことで、どこかで相手が合意してくれるかもしれません。
できるだけ多く請求したい場合は、高めの金額設定で話し合いましょう。
【その3】最後の我慢だと思って!相手のことをほめて感謝する
離婚するくらい嫌いな相手をほめて感謝するのは、へどが出るという人もいますよね。
ここで我慢してほめておくことで、相手に慰謝料や養育費などの支払いを拒否させにくくさせるのが目的です。
あくまでも演技!割り切ってやってみましょう。
自分の条件に合意してもらうためには大切なことです。離婚前の最後の我慢です。
【その4】平等な関係だということを印象づける
強い意志を伝えることは大切ですが、強気に出て相手の上に立ってしまうのはおすすめできません。
相手に損を感じさせる言い回しや条件を提示してしまうと、相手も頑なになってしまい合意をしてくれなくなることがあります。
あくまでも平等な関係で、お互いがより良い生活を送っていくための条件であることを印象付けましょう。
そうすることで、相手がこちらの条件に合意しやすくなります。
【その5】感情的ではなく理性的に進める
感情的になってしまうことで「もういい!」と中途半端な条件でOKと出してしまう可能性があります。
希望通りの条件で、後悔しない協議離婚をするためには、感情的になるのは危険です。
冷静に、理性的に「何があなたにとって有利なのか」を考えて話し合いを進めましょう。
そして、離婚する時に後悔する人が多い問題を、先に解決しておきましょう!
6.まとめ
できるかしら・・・?
ただ、ここはもう最後の話し合いだと思って、交渉人みたいな感じでさ・・・
とにかく不利にならないようにするためには、自分自身が相手と話す力も必要になるってことね。
冷静に、淡々と進められるようにしたいところだね。
夫婦間の話し合いで決める協議離婚だからこそ途中で相手に対して「情」が出てくる可能性が高いんです。
「離婚したくない!」、「これからはちゃんとする」と相手が言い張ると、ついつい「そういえば昔も離婚したいって喧嘩になったけ・・・」、「あのときはちゃんと仲直りできた!」「もう少し一緒に居てもいいかもしれない」と気が付くと離婚の意志が弱くなってしまうことも・・・。
乗り越えてきた壁が多い婚姻期間の長い夫婦ほど、相手への情も深くなっているために意志がぐらついてしまうものです。
しかし、ここで負けてはいけません!心を鬼にして、情を抜きに理性だけで、「離婚したらどんなに明るい未来が待っているか」、「今回離婚に踏み切ったほどの辛い条件は何だったか」を考えて、確固たる意志で離婚を進めましょう。
①自分で条件を決めて、証拠集め、財産の把握を行い
②離婚後の生活のシミュレーションを行い
③本当に離婚したいかを自問します
④相手に離婚を伝えて条件をすり合わせ
⑤離婚協議書を作成して
⑥2人の証人にサインをもらい離婚届を提出します
どうしても情に流されるという人は、弁護士を挟みましょう。
第三者を入れることは効果的ですが、両親や親せき、友人ではトラブルに発展しかねませんからね。せっかく円満に終わらせようと協議離婚をしているのに本末転倒です。
気持ち穏やかな生活を送るための離婚です。
あなたに明るい未来がやってくることを筆者も願っています。