それに、子どもたちのことはちゃんと考えたの?
養育費とか、親権とか、そういうことなら今考えてるところだけど・・・。
夫婦の問題に子どもたちは巻き込まれることになるんだ。そのことについて、考えたの?
夫婦間にはいろいろな問題がおきます。
それは、元々が他人同士の異性が一緒に暮らそうとするのだから当たり前の事ですよね。
問題の中には、お互いが譲り合って解決できることもありますが、もちろんそれだけでは無いのが現実です。
譲り合いができない場合、離婚という選択肢も当たり前になってきています。
現に、平成28年度には結婚621,000件に対して、離婚件数217,000件が離婚という報告結果が出されています。
これは、日本の夫婦の3組に1組は離婚をしているという事実です。
厚生労働省:平成28年度の人口動態統計データ
それが夫婦間だけの問題であれば、特に悩むことはありません。価値観の違いや、単に好きと言う感情が無くなったというだけで離婚したとしても、周りの目を気にしなければ極端に誰かに迷惑をかけることも無いでしょう。
しかし、2人の間にもし子供がいたとしたら・・・・。
離婚する事に当たって、最優先で考えるべき事は子供の事になります。
極端な言い方をすると、大人の勝手な事情で離婚という道に子供の人生まで、引きずり込んでしまうのですから。
かくいう筆者も愛する息子が2歳の時に離婚をしました。
どう考えても修復不可能な状態が続いていた夫婦関係を解消する事で、子供と2人で新しい人生を歩む決意をしたものの、その瞬間から同時に子供から父親を奪ってしまうという事に対しての罪悪感も産まれました。
どうしたら、子供のために幸せな家庭環境を作ってあげる事ができるのか。自分が我慢する事で家庭を守れるのならば・・・。
この記事を目にする方は、そんな風に考えている方ばかりだと思います。
しかし、子供のために離婚しないで、我慢をする親が正しいという考え方だけに偏るべきではないと思います。
なぜなら、離婚をしないでいることが子供にとって悪影響となり、傷つけてしまう事もあるからです。
何の罪も無い子供の目の前で毎日いがみ合い、愛する両親達が場合によっては暴力を受けていたら子供がどんなに傷ついてしまうのか。
想像すればわかりますよね。
実際に、平成23年の全国母子世帯等調査データの結果報告によると、1人親世帯になった家庭のうち母子家庭で80%、父子家庭の74.3%が「離婚が原因」と報告されています。
では実際に、離婚をすることで子供達にはどのような影響があるのでしょうか。
・離婚後の人生が最愛の子供にとっても幸せに暮らせるような再スタートにできるように親してあげられること
このような点ついて、取り上げていきたいと思います。
目次
1.離婚が子供に与える影響とは
イメージだと、非行とか引きこもりとかなんだけど。
子どもたちは元気にしているようでも、やっぱり気を遣ってるもんなのかな?
実際に両親が離婚をすることで子供にはどのような影響があるのでしょうか。
1993年にバージニア大学のヘザーリントン教授が実証的研究した結果、「離婚していない両親の子供のうち精神的に問題がない子供は90%に対して、両親が離婚をした子供は75%となる」という報告をしています。
また、アメリカの心理学者ジュディス・ウォーラースタインは実際に親が離婚した子供を長期的に追跡調査した結果、子供たちは精神的に大きなダメージを負っているという結論をだしています。
具体的には、両方の親から見捨てられてしまうのではないかという不安や、社会的な地位の低さなどがあげられています。
日本でも離婚を経験した親とその子供たちがの声を集めた調査報告があります。
家庭問題情報誌「ふぁみりお」
(離婚した親と子供の声を聴く「家庭環境の変化と子どもの成長に関する調査研究」の報告書より)
この報告書によると、自分の両親の離婚に対して、子供たちがマイナスと思うことが述べられています。
- 不安や孤独、さみしさに苦しんだりした
- 苦しむ自分に対しての自己嫌悪に悩んだ
- 片親で育ったことに対する社会の偏見がつらい
などと言う意見が多く、悪影響で無邪気さのない子に育ったり、自分の殻に閉じこもるようになったり、心身ともに疲れてしまい、精神的に不安定になり、精神科に通ったり自殺未遂をしたという意見もありました。
両親の離婚のせいで自分の人生が振り回されたと感じてしまう子供達もいるのです。
親としては、とても胸が痛い報告結果で、どんな状況でも自分の子供には幸せでいて欲しいし、
「さみしい思いをさせてしまうことで非行に走ってしまったらどうしよう」「不幸な生活をさせたくない。できるだけのことはしてあげたい」と思っていても、知らないうちに傷つけてしまっているという結果でしょう。
しかし、反対に両親が離婚をしたことで良かったと感じている子供たちもいます。
- 家庭が明るくなった
- 母が暴力を受けているところを見なくて済むようになった
- 安心して家に帰る事ができるようになった
などという声もあります。
では、離婚という親の事情で傷つけてしまう子供達の為に少しでも親としてやってあげられる事について詳しくお話していきます。
親としてできること、ひとりの大人として離婚前にやっておくべきこと・・・
>離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?
2.離婚で子供を傷付けないようにする為の方法は?
自分の両親が離婚をしてしまった子供達は必ずと言っていいほど、何かしら心に負担や傷を負います。それは離婚をした親である当人同士と同じです。
そして子供達は、さらに心の成長がまだ未熟である為、その傷は大人よりもさらに深く、また今後の人生にかなりの影響を及ぼす可能性があります。
では、子供達に大人が配慮するべき事は何でしょうか。
両親の離婚を経験した子供達に共通して言えるマイナスの心理として、
- 自分のせいで両親が離婚してしまった
- お父さんとお母さんに嫌われてしまった
- 自分はひとりぼっちになってしまった
などという考えになりがちです。先ほどご紹介した下記の報告データにもありますが、子供達がこういう心境に陥りやすい原因として、親からの十分な説明を受けていないことが大きな要因となりうるという事がわかります。
家庭問題情報誌「ふぁみりお」
(離婚した親と子供の声を聴く「家庭環境の変化と子どもの成長に関する調査研究」の報告書より)
特に子供の年齢が低い場合など、親は説明をするにはまだ早いと考えて、離婚理由をあやふやにしてしまったり、嘘を伝えてしまう事があります。
筆者自身も、離婚当時子供の年齢が2歳になったばかりという事もあり、「パパはどこにいるの?」という質問をされた際に、「パパは宇宙に旅行に行ってるのだよ。」という嘘をついてしまいました。
しかし、4歳になった今、物事を理解しだしてきていて私が嘘をついていると言うことまでも、すでに理解しています。
「なんでママは嘘をつくの?」という質問をされたときに、大好きなママに嘘をつかれていると言うだけで、私は彼を酷く傷付けてしまっているということに気付かされました。
ついつい小さな子供だから、説明してもわからないだろう。残酷な話はしたくない。という子供を思う気持ちのつもりで、
「お父さんは(お母さん)はお星様になってしまったよ。」
「死んでしまったよ。」
「遠くへずっとお仕事にいっているよ。」
などという嘘をついてしまう親が多くおられます。
ですが、子供達はどんなに小さくても1人の人間であると言うことを尊重し、十分な説明をしてあげる事で子供は成長過程の中で悩む事無く過ごして行ける子供が多いという声が上がっています。
軽はずみに親がついた嘘で、二重に子供の気持ちを傷付けない事が大切です。
また、子供達からしたら両親の離婚理由もですが、実際に今後どうして行くのかと言うことを詳しく子供の年齢に合わせて説明してあげる事で不安な気持ちを解消出来るという報告があります。
◆こどもを傷つけないためにやるべき6つのこと
こどもを傷つけないためにやるべきこととして、以下の6つのことが挙げられます。
【方法1】愛情をたっぷりと注いであげる
子供達は、特に年齢に関係なく親の愛情を求めています。
やりすぎかなと思っても、わかりやすく自分が愛されているという実感をもてるように愛情表現をしてあげる位でちょうどいいのです。
【方法2】何があってもお母さん(お父さん)が守るからと伝える
子供達は両親の離婚で孤独を感じてしまう傾向にあります。
安心感を与えてあげることで、孤独やさみしさを解消してあげるようにしましょう。
【方法3】離婚した相手を悪く言わない
本当のことをきちんと話す事は大事ですが、子供はどんな親でも自分の親が大好きです。口ではなんと言おうと心の中では両親に深く愛されたいと願っています。
そんな大好きなお父さん(お母さん)の悪口は聞きたくないですし、それを言う姿を見たくないと思うはずです。
【方法4】子供に本当の事をいう(説明を怠らない)
子供が小さいからと言って嘘を付き続ける事で子供を傷付けてしまう事もあります。
子供も大好きなお母さん(お父さん)と真実を共有したい、お母さん(お父さん)を守ってあげたいという気持ちでいてくれる事を察してあげる事が大事です。
【方法5】離れて暮らしていても親であることに変わりは無いという事を伝える
離婚をすることで同じ家庭で過ごすことができなくなるのは事実ですが、夫婦関係は解消されたとしても親子関係は消える事はありません。
離婚をすることで妻や夫がいなくなる事はあっても、お父さんやお母さんがいなくなることは無いことをあなた自身も理解した上で子供には伝えてあげてください。
【方法6】これからの生活についてしっかり説明をする
離婚して今後の生活が不安になるのはあなただけでは無く子供達も同じです。今後、自分とどのように生活して行くのかなど、十分に説明してあげる事で、安心させてあげる事も重要です。
◆子供を傷付けてしまう絶対に言ってはいけない言葉
こどもを傷つけてしまう、絶対に言ってはいけない言葉にも注意するようにしましょう。
【その1】お父さんとお母さんどっちと暮らしたい?と聞く
これは、子供の意思を尊重してあげたいという気持ちからか、聞いてしまいがちな事ですが、子供にとってはとても苦痛の選択になることが多いです。
後々、自分の選択のせいで両親が離婚をしてしまったのでは無いかなどという不安に悩む子供達がいるのが事実です。
プレッシャーと大きな責任を押しつけてしまう言葉になりかねないのです。
【その2】あんたなんか産まなければ良かった
シングルマザーが生活をしながら子育てと収入を得るのはとても大変です。
時には、疲れ切って追い込まれる状況も多々あるでしょう。そんなときでも子供はお構いなしに愛情を求めて、色々な問題を起こすかも知れません。
そんなときについうっかり言葉に出して八つ当たりをしてしまいがちです。
でも、言われた子供は100%傷付きます。もし、近い言葉を口に出してしまったら必ず、子供に謝って抱きしめてあげてください。
【その3】そういうところがお父さん(お母さん)に似て嫌い。嫌だ。
子供は、両親が離婚したと言うことは、好きでは無くなって離婚してしまったという事を理解します。
自分も嫌われて、親に見捨てられてしまうという感覚になって非常に自信をなくしてしまいます。
【その4】どうしていつも困らせるの?少しは我慢してよ!
これは両方とも子育て中の親なら、ついつい口にしてしまいがちな言葉ではありますが、子供は親を困らせたいわけではありません。
なぜこれをして欲しくないのか、なぜ困るのか。
また、なぜ今これを我慢して欲しいのかをきちんと話す方が子供は理解してくれます。
頭ごなしに言われてしまうことで、後々になって片親だから我慢させられた・・・などという考え方を植え付けてしまうきっかけになりやすい言葉です。
【その5】どうしてできないの?
上記の言葉と一緒で、これも後々になってマイナスを植え付ける言葉になってしまいがちです。どうしてできないのかを責めるより、なぜこれをやって欲しいのか。を伝える事のが子供には伝わります。
子育て中は、親は常に子供に愛情を試されているのかも知れません。
1人で子供を育てていくのは大変ですが、その分子供の愛情も自分へもたくさん注がれていると信じて支え合う気持ちで頑張りましょう。
【その6】あなたのお父さん(お母さん)は最低
何度もお伝えしているように、夫婦がどんな関係にあろうと子供との親子関係は消えません。
相手を全否定するような発言を耳にした子供達は、無意識に自分の半分を否定されているような気持ちになってしまいます。
上記のような言葉はどれも子供を否定してしまう言葉になります。
「自分も嫌われてしまう」「いい子でいないと捨てられてしまうと言う気持ちにさせてしまう言葉です。
愛情表現はたくさんしてあげて、愛されてる自信を持たせてあげる事を意識してあげましょう。それでも親も人間です。いつも完璧でなんていられません。
子供を傷付けてしまったなと思うことがあったら、子供の年齢に関わらず、傷付けてしまった事を謝って、抱きしめてあげるなどの愛情表現のフォローを忘れないでください。
子供が大きくなるにつれて、親も子供との生活にかかるお金を稼ぐために働く時間が増え、子供も高校生くらいになれば、生活を助けるためにバイトをする生活になることも多くなります。
愛情を注いであげたくても、すれ違いからできなくなってしまう事も多くなります。
親がいくら注意深く気にしてあげているつもりでも、苦労をしている親の前で、心配かけたくないからと必要以上に明るく振る舞っていたり、元気でいるふりをしながら心に闇を抱えてしまうパターンも多く見られます。
上記の報告データによると、子供達はそういう時期を自分で解決してきたと答えています。実際に101人のアンケート結果で離婚の説明をした親は70%程度で、親から説明をしていないのは28%程度です。
子供の年齢1~4歳までは説明を受けた子、受けていない子と同数ですが、6歳~10歳では79%の子供が説明をうけており、11~15歳までには全体の86%になります。
子供達の説明を受けたときの反応は、個々の性格や心境によって異なりますが、子供達サイドからの意見を集計すると、「親は子供達に十分な離婚の説明をすべきである」と言う意見に集約されています。
3.離婚をすることがすべて悪い訳ではない
離婚したての頃は、思い通りにいかないことも多いだろうし、子どもにあたってしまうかもしれないから注意しなくちゃ!
僕もせっかく親権をとったのに、子どもが傷つくことを言って深く反省したことがあるよ。
ここまで、離婚をすることで子供を傷つけてしまうと言う事ばかりお話しをしてきましたが、決して離婚をする事がすべて悪では無いということを付け加えさせてください。
すべての母子家庭、父子家庭の子供たちが上記のようなマイナスの影響を受けているわけではありません。
離婚理由の中でも、子供が片方の親からDVを受けていたり、アルコール依存症であったり、借金まみれの生活をしていたり、育児放棄(ネグレクト)が見られたり、罵声やひどい言葉を浴びせられていたりなどと言う場合は、その結婚生活自体がむしろ子供にとっても悪影響と言うことにもなりかねません。
また直接子供に害はなくても、両親の不仲が過ぎて、暴力に発展していたり、日々罵声で罵りあうような姿を見せられて育つ子供には精神的な悪影響を及ぼす可能性は高いでしょう。
上記報告書データによると、親が離婚をしたことでむしろプラスになったこととして、
- 家庭が明るくなった
- 人の痛みや優しさを感じ取りわかることができるようになった
と言う意見を述べている子供もいます。また親の離婚に積極的に賛成したと言う子供は13%程度おり、その多くが両親の著しい不仲や、暴力や借金、アルコール依存症などが関係していることが挙げられます。
両親と同じように子供自身も悩んでいたと言うことがわかります。
しかし、逆を見れば離婚に賛成したかしていないかについて、無回答もしくは反対していた子供たちの方が圧倒的に多く、つまりは子供たちの大多数は両親に離婚をして欲しくないと思っていることがわかります。
不倫や夫婦の価値観の違いで離婚すると言う事は、夫婦の問題であり子供自身には関係がないのです。
4.離婚する際の子供に関する手続きにはどのようなものがある?
子どもの心理的な面についての配慮はもちろんだけど、親権や面会なんかの取り決めもとても重要だ。
下の説明を見てみよう。
実際に離婚をするとなれば、子供に関わる手続きでどのようなものがあるのでしょうか。
大きく分けて3つの手続きを踏む必要があります。
- 子供の親権についての手続き
- 養育費についての手続き
- 面会交流についての手続き
上記について様、夫婦間で取り決めをする必要があります。詳しく説明していきます。
1)子供の親権についての手続き
まず、親権とは未成年の子供の監護と養育を行い子供の財産管理や、身上監護などを行う権利や義務のことをいいます。
子供が未成年である間は親権者が必要となります。通常は20歳未満までですが、もし子供が20歳未満で結婚をすればその時点で成人となります。
子供が成人している場合は親権や、面会交流などは取り決める必要はありません。
子供の親権を取る流れとしては、まずは協議がで取り決めをし、協議で決まらない場合は、調停と審判で話し合い、それでも決着が付かない場合は、裁判という順番が通常です。
多くの場合は、母親側が親権を取ると言うイメージを持ちがちです。
これは、家庭裁判所は子供の年齢が低ければ低いほど、成長するには母性が必要だと言う考えを持っていることが多く、親権者は母親となることが多いのです。
しかし、法律的には親権者として母親が優先される根拠は何もありません。
一般的には子供が10歳未満の場合は、母親が真剣を望む場合、母親側が有利になりやすいと言われています。
子供の年齢が10歳以上の場合は子供の意思と心身の成長状況が考慮され、特に15歳以上の場合は、子供の意思が主に尊重されます。
最近では、育児にも積極的に参加する男性も増えたことにともなり、父親が親権を取ろうとすることも増えています。
実際に裁判所が親権を決める際には、「子供の幸せ」を判断基準としているため、
- 子供への愛情
- 経済力
- 生活環境
- 子供の意思
- 子供の年齢
- 周囲で面倒みてくれる人の有無
などが親権者を決める際の判断材料となります。そのため裁判所にアピールする際には、上記の観点を意識して攻めていくことが必要です。
また一度決定された親権者の変更をする場合は、家庭裁判所へ申し立てを行う必要があり、許可をもらわなくてはなりません。
変更に値する理由が必須であり、両親の間で勝手に取り決めをし直す事はできません。
2)養育費についての手続き
養育費とは、未成熟児から成人して自立するまでに必要となる費用を、子供の養育をしないほうの親が、養育をする方の親に支払うものです。
原則として、子供が成人する20歳となる月まで支払うことになりますが、高校を卒業してすぐに社会人として働きだしたりした場合はそれより短くなることもあり、また逆に大学進学などでそれより長く支払いが必要となる場合もあります。
養育費の金額は算定表を参考にすることが多いのですが、算定表は現算定表と新算定表の2種類があり、新算定表のほうが金額は高く見積もられます。(従来の1.5倍程度高くなる)
現算定表(裁判所:養育費・婚姻費用算定表)
新算定表(日弁連:新算定表 2016年11月発表)
弁護士に依頼する際には、どちらの算定表を参照として話を進めていきたいのかをあらかじめ伝えておくことで有利な展開に進めることができます。
しかし、現状子供の成長と養育のために必要不可欠な費用であるにも関わらず、きちんと養育費の支払いが続けられている家庭は全体の20%程度にすら満たないという結果が出ています。
下記データによると平成23年度の母子世帯総数1,332世帯に対して、現在も養育費の支払いを継続して受けていると答えたのはたったの263世帯です。
厚生労働省:平成23年度全国母子世等調査結果報告
このデータを踏まえても、養育費の支払いに関する取り決めは必ず、公正証書にしておくことをおすすめします。
口約束で取り決めをしても、次第に養育費の支払いがされなくなるケースは多く、そういった場合に、公正証書を残しておくことで養育費の支払いを強制執行することが可能となります。
お子さんのためにも養育費の取り決めをした場合には必ず公正証書を作成しておきましょう。
【離婚養育費の不安や疑問】こどもの為に知っておきたい5つのこと
3.面会交流についての手続き
面会交流とは、親子が別居している際に子供の監護や養育を行っていないほうの親が親子での面会等をすることで、法律で決められた面会交流する権利を面会交流権といいます。
離婚前より子供との別居が続いている場合も、親は子供との面会交流を求めることができます。
しかし、面会交流は親のための権利というよりは子供のための権利という考え方が強いので、子供の利益を最優先します。そのため、親の都合での面会交流を取り決めるということは認められません。
子供にとっても、定期的に会って親と接触することや、学校行事や子供の誕生日やなどは子供の精神の健やかな成長にとっても必要なものですが、逆に子供にとって面会させることで精神面に支障を及ぼすような場合は面会が認められなくなります。
また、実際に厚生労働省のデータによると面会交流の取り決めをしているのは、母子世帯の23.4%で父子世帯の場合は16.3%となります。
面会交流の頻度は、月に1回以上~2回未満という回答がもっとも多く、取り決めをした世帯のうち、面会実施状況については、現在も行っていると答えたのが、母子世帯27.7%で父子世帯37.4%となります。
夫婦が協議離婚をしている場合は、その他の離婚方法を選択した夫婦と比べて、面会交流の取り決めをしている割合は低くなります。
厚生労働省:面会交流の実地状況
面会交流の取り決めの具体的な内容としては
- 面会の頻度や時間や場所
- 面会の際の連絡方法
- 面会時の付添人の有無
などがあります。
また、取り決めの方法は、協議で決める、もしくは面会交流調停や審判で決めることが多く、面会交流に関しては裁判にまで発展するケースはごく稀です。
下記に必要な申請書類や費用が掲載されています。参考にしてください。
裁判所:面会交流調停について必要事項
5.離婚することで子供の姓や戸籍はどうなる?学校でいじめは?
ほら、離婚してから子どもの姓はどうするか、考えた?
そういえば、離婚すると、子どもはいじめにも遭うのかな・・・?
離婚をして夫の姓を夫婦で使用していた場合、離婚をすることで旧姓に戻すのが一般的です。
しかし手続きをすることで離婚後も旧姓に戻すことなく、夫の姓を名乗り続ける事も可能です。勤務先や今後の生活状況に合わせて選択できます。
旧姓に戻すには、離婚手続き後自動的に旧姓に戻りますが、婚姻中の姓を名乗り続ける場合は離婚の日付の3ヶ月以内に戸籍法上の「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」と言う物を出す必要があります。
これは役所の戸籍係で手続きできます。しかし、3ヶ月以内に手続きしなかった場合は、家庭裁判所での手続きが必要となりますのでご注意ください。
また戸籍に関しては、結婚するときに新しい戸籍を作っていたものから、筆頭者でない限り抜ける事になります。これを除籍を言いますが、除籍された場合は元の戸籍に戻るか、もしくは新しく戸籍を作り直す事になります。
そして子供の姓や戸籍はというと母親だけが手続きをしても、旧姓に戻るのは妻であった母親だけとなります。
子供を母親が引き取った場合でも何も手続きをしない場合は、子供は夫の姓を名乗り続け、戸籍も夫婦の戸籍に残るので変わりません。名字を母親の旧姓に戻すのであれば、手続きが必要となります。
そのため、同じ屋根の下で暮らしていても、手続きをしなければ親子であっても違う姓で違う戸籍という状態となります。学校生活などを考えそのままにすると言う選択をする場合も多く見られます。
また、母親が新戸籍を作る事と、子供の姓を母親の姓に合わせる事で、子供を母親の戸籍に迎え入れる事ができます。
その場合は、まず家庭裁判所にて「子の氏の変更許可(民法791条)」を申し立てる必要があります。そして、子供子の氏の変更許可だけでは、氏の変更の効力は無いので、子供が親の籍に入籍する旨の届けを出す必要があります。(入籍届け)
また、子供の年齢や性格や交友関係によっては、姓が変わることでそれがいじめにつながることもあります。
未就学児の間であればあまり気にせずに、姓を変更しやすいですがある程度の年齢になるとからかう同級生などからの発言に傷付いてしまう子供もいます。
しかし、母親の姓と違うことで不便なことも多々ありますので、よくよく考えてから選択しましょう。
不便になることと言えば、マイホームのことも同じです。
早めに対策をとっておくことで、後々面倒な思いをしなくて済みますし、なにより損をしなくなります。
>離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?
6.実際に離婚した人たちの子供に対する悩みとは
子どもも大人もどちらも環境が変わってしまうからこそ、新しい悩みが出てくるんだ。
離婚をして子供を引き取った場合、そこから先はいくら周りの手助けがあったとしても親として一人で子供を育てていく事になります。
いったいどんな事で実際に離婚をした親は子供を育てていく上で悩んでいるのでしょうか。
厚生労働省の発表する平成23年度の全国母子世帯等調査結果報告に記載されているひとり親世帯の悩みという下記データによると、母子家庭の子供に対する悩みは
- 教育・進学について・・・56.4%
- しつけについて・・・19.0%
となっており、教育・進学については子供の年齢が上がるほど増えており、15歳を超えると就職についての悩みも一気に増えています。
また、父子家庭の子供に対する悩みは
- 教育・進学について・・・50.6%
- しつけ・・・12.8%
となっており、さほど母子家庭との差は感じられないですが、
父子家庭においては子供の年齢が小さい(0~4歳)の場合は上記に追加して
- 食事・栄養面・・・19.0%
という回答があげられます。
厚生労働省:平成23年度の全国母子世帯等調査結果報告
どちらの場合もひとり親世帯であることで経済的なゆとりや、教育面で配慮する時間が取りにくいこともあり、親として心配なことが多いこと、子供自身が家計を支えて行くために大学などの進学を諦めて、就職をせざるを得ないと言うことも要因となってきます。
気になる母子家庭や父子家庭におけるマイナスのイメージとして心配されがちな、子供の非行や交友関係について悩んでいると言う家庭は、意外にも2%以下となります。
まとめ
こどもにとって頼れるのは、一緒に暮らすお母さん、もしくはお父さんだけだ、ということも忘れないようにしないとね。
子どもを最優先に考えた離婚ができるように、もう少し考えてみる!
子供のためには両親そろって一緒に子供成長を見守り手助けしていけることが一番です。
しかし、様々な事情で離婚という選択をする家庭も多いでしょう。
また、そうしなければ子供をまともに育てて行くこと自体が困難なケースも多々あるかと思います。
結婚生活に失敗をしてしまうと言うことはあなたにとっても大変に辛い苦しい経験でしょう。
しかしそれ以上に、子供達は苦しい思いを強いられてしまうことがあります。
シングルになって子供を育てて行くことはとても大変です。一生懸命育てていても、辛いことは沢山あります。逃げ出したくなることもたくさんあります。
しかし、離婚という選択をした以上、子供達にとっては頼れるのはあなただけです。子供達はあなたに愛されて、必要として欲しいと思っています。
あなたがそんな子供達を最優先に考えて育てていけるように、同じ状況を選んだシングルマザーである筆者も応援しています。
旦那のことが嫌すぎて今すぐ離婚したい!!