しっかり準備しておかないと損をしてしまうかもしれないし、旦那さんに”財産隠し”をされてしまうかもしれないから、注意しないとね。
そこを自分が得するように分けられたらいいな~♪
なんか楽しみになってきた!
・・・ちなみに、旦那さん名義のローンとかギャンブルなんかの借金はあるかい?
違うよね?!・・・ね??ゴン太さん・・・?
かつては一生の愛を誓った相手だとしても、残念ながら離婚を考える時が来ることもあります。その原因は、借金、ギャンブル、DV、浮気、性格の不一致それぞれの家庭の事情があることでしょう。
しかしいざ離婚に踏み切ろうとした時に、不安になることの1つの材料として財産分与が挙げられます。
いわゆる「お金の問題」です。
離婚はものすごい労力を使います。筆者も経験しましたが、結婚と違い紙切れ1枚で済むわけではありません。
精神的にも肉体的にもかなりヘトヘトになるまで追い込まれます。
そのため、早く決着をつけたくて財産分与を放棄して離婚と言う選択をする人も少なくありません。
しかし、よく考えてください。
離婚後も生活をするには当たって、お金は必ず必要です!
考えなしに離婚に踏み切ってしまうと、あなただけが損をしてしまうこともあるんです。
・あなたの家庭の場合どの程度もらえるものなのか
・あなたが損をしないためにはどのような準備をしておくべきなのか
・今現在、借金やローンがある場合はどうなるのか
など、絶対知っておいてもらいたい離婚の財産分与のイロハをご紹介します。
財産分与に際して絶対に無視できない一番重要なことがあります。
>離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?
目次
1.財産分与とは具体的にどういうものでしょう?
自分が損をするようなことだけは避けたいわ。
しかも、請求するには期限があるから、気を付けないとね。
どうしよう・・・期限があるって聞いたらなんか焦ってきた!
とりあえず、下の説明を見てみよう。
離婚をすると決めた時、頭に財産分与という言葉が思い浮かぶもののそれが具体的にどういうものなのかを理解している人は少ないでしょう。
財産分与とは、離婚をした当事者たちの一方が、もう一方に対して財産を分与すること。
とされていますが、財産分与には3つの種類があります。
①精算的財産分与
一般的に財産分与は夫婦が婚姻生活中に協力して取得した財産を夫婦それぞれの個人の財産に振り分けることをいます。(結婚前に取得していた個人の財産についてはその対象になりません。)
財産分与と言われるものはこれを指すことが多いです。
②扶養的財産分与
具体的には経済的弱者である(この場合の多くは妻である女性側)に対しての扶養料も含みます。これは経済的に弱い一方の、離婚後の生活を保護するための制度です。
③慰謝料的財産分与
婚姻生活破綻の原因を作った相手に対してもう一方は、離婚による精神的苦痛の慰謝料を請求できます。つまりは損害賠償の意味を含むものとされています。
世間的に良く思われている考え方で、妻が夫に慰謝料請求すると言うのが当たり前は間違いで、離婚するときの原因を作った方が慰謝料を支払うというのが正解です。
慰謝料的財産分与の相場と請求できる場合について
- モラハラ・・・相場は大体50万円から200万円程度
- DV・・・相場は大体100万円から300万円程度
- 不倫・・・相場は300万円程度。
婚姻年数や、夫婦生活が完全に破綻していた場合は考慮されるので金額が上下します - 生活費不払い家出・・・50万円から200万円程度
上記はあくまでも相場です。
また協議離婚で夫婦間で自由に決めることもできます。
慰謝料的財産分与を請求する場合は、証拠となる物を準備できないと立証できないパターンもありますので、きちんとした事前準備が必要です。
離婚財産分与には、上記の3種類があると言うことをまずは覚えておきましょう。
財産分与の具体的な内容としては当事者同士の話し合いによって決められるものですが、その協議が合意されないときは、家庭裁判所の審判によって決められます。
しかし家庭裁判所での審判の請求は離婚後2年を経過するとできなくなります。請求出来る期間があると言うことを覚えておきましょう。
また、逆を言えば離婚後も請求できる期間が2年あると言うことです。離婚が成立してしまった後だから、と言って諦める必要はありません。
平成14年度の裁判所のデータでは、家庭裁判所の審判を受けることによって総数666件のうち、595件の案件が、財産分与の取り決めを成立しています。
参考・参照:離婚後の財産分与事件数 終局区分別申立人別 全家庭裁判所
これは、全体の90%近くが家庭裁判所の調停を利用することできちんとした財産分与ができていると言うことです。
また統計でも婚姻期間が長いほど財産分与の支払い額は高額になる可能性も高く、きちんとした取り決めのもと離婚調停を成立させることで、あなただけが損をせずに済む事を表しています。
2.散々辛い思いをしてきたのに相手より財産分与が少ないなんて許せない!財産分与で私は一体どれくらい貰えるの?
あのね、ふと思ったんだけど・・・旦那名義のものとかどうなるの?!
私はパートに出てるけど、明らかに旦那のほうが収入は上だし・・・私のほうが財産分与少ないんじゃないの?!
財産分与は原則として、名義に関係なく半分になるんだ。
財産分与は原則として、結婚生活中に夫婦で築き上げてきた財産の2分の1が分配されると言うのが基本ですが、例外もない訳ではありません。
本来財産分与は、お互いの貢献度によって計算されます。もしあなたが専業主婦だったとしても、夫が外で仕事に専念できるように、家事や育児を頑張ってきたということが夫婦生活への貢献度として考慮されます。
財産分与は、それぞれ家庭への貢献度と婚姻年数によって計算されるのです。
自分が稼いだ収入ではないからと諦めてはいけません。
*当人同士の話し合いができる協議離婚の場合には、夫婦間で話し合いその割合を話し合って決めることができますが、離婚調停や裁判となると、名義に関係なく財産を半分にすると言う考え方になります。
とは言え、財産分与は現金であれば半分ずつときれいに分けることができますが、夫婦の財産の中には持ち家や、車、貴金属類、保険証券などのそれ以外の財産もあります。
財産分与をする際に1番後々にトラブルにならないようにするには、すべての財産を売却し、現金化してから2等分するのがベストです。
しかし現実的には様々な事情で全てを現金化することが難しいと言うパターンも多いでしょう。
その場合、不動産や車などの財産を受け取る代わりに、相手に対して金銭を支払うと言う形がとられたり、また家具や、貴金属など現金以外の財産で現物分与という形が取られることもあります。
例えば、どちらか片方が愛着を持って乗り続けている車があったとします。その車を売却して現金化しない場合は、車の時価を査定しその金額の半額を相手に支払うことで、折半という形をとります。
(時価にして100万円の車であれば、相手に現金で50万円を支払い、代わりに自分は車を手に入れるという計算です。)
また自宅等がある場合は、売却せずどちらか片方がもらう代わりに、もう片方が現金や、他のもので譲り受けたりする事が出来ます。
現金、土地、株券、家財、年金や退職金なども婚姻期間中に夫婦で協力して得た財産は分与対象となり、財産の合計を上手く2分割するように分けます。
(夫が、車100万円+株券50万円としたら、妻に現金75万円と家財25万円と貴金属で50万円相当、、などとすれば、お互いに150万円ずつ財産分与されたという事になります。)
そして共有財産の中にはマイナスの財産も含まれます。
借金や、ローンなども含まれますので後ほど詳しく解説します。
3.財産を隠されてしまう前に知っておいて!一体何が財産分与の対象になるのか。
じゃあ、その財産分与って一体なにが対象になっているわけ?
さっき車とか家とか出てきてたけど。
財産分与の対象になるものは、下でしっかり説明しているから、みてみよう。
それから、財産分与の対象にならないものもあるから、そこもしっかり見ておかないとね。
財産分与の対象にならないものは、勝手にもらっちゃおー・・・コソコソ
そんなことしてたら捕まるよ!
夫婦で所持している財産には大きく2つに分けることができます。
①共有財産
夫婦が協力して婚姻中に取得した財産です。
これはどちらか1人の名義になっていたとしても婚姻中に協力して築き上げた財産と言う扱いになるので、妻が専業主婦であり全ての収入源が夫であったとしてもそれは夫婦共有の財産と言う事になります。
またこの中にはお互いに相手に内緒で貯めたヘソクリや、宝石等の貴金属なども含まれます。それらも平等に財産分与する対象となります。
具体的に言うと、
- 現金や預貯金
- 生命保険や教育保険などの保険
- 不動産(名義がどちらであろうとも婚姻期間中の財産として)
- 家具や家電(婚姻後に購入したもの)
- 有価証券
- 年金(共済年金や厚生年金)
- 退職金(すでに使ってしまった場合や遠すぎる未来の場合には対象外となる)
- 会員権
上記のものは全て清算的財産分与できる共有財産となります。あなたには2分の1を請求する権利があると言うことを覚えておいてください。
②特有財産
これは独身の頃に自分が1人に築いた財産をいいます。
特有財産は財産分与の対象になりません。
(また例外として婚姻期間中に築き上げた財産の中でも共有財産に入らないものもあります。それは別居中に築き上げた財産です。それは、夫婦で築き上げた財産と言うことにはならないので、財産分与の対象外となります。)
あなたが離婚をしたい!と思った時、また考え抜いて離婚を決意したとしても、決して何の計画もなしに、その場の怒りや感情に任せて「離婚する!」などと言ってはいけません。
なぜならその言葉をきっかけに、相手が先に財産隠しをしてしまうかもしれないからです。
夫婦で平等に分けるべき共有財産も軽はずみな離婚宣言で相手に先手を打たれたら、あなただけが損をしてしまうかもしれないと言うことです。
共有財産は現金以外も売却することで現金化し、平等に分けることができます。今現在、夫婦間の共有財産は一体どれぐらいあるのかきちんと把握してから話を切り出すことが大事です。
財産分与の贈与税は?
離婚時の財産分与には税金はかかりません。
なぜなら財産分野は本来夫婦それぞれが持つべき財産を清算しているだけで、新たな財産を得たわけではないので、税金はかからないのでご安心ください。
しかし特例で相場よりもかなり多くの財産分与受けた場合は税金がかかることもあります。詳しくは国税庁のホームページを参照してください。
国税庁:離婚して財産をもらったとき
4.財産分与には借金やローンも含まれる!相手のギャンブルの借金も負担しなくちゃいけないの?
あっ!そういえば、最初に言ってた「借金とかローンの財産分与」の話なんだけど、
まさか本当に私が旦那のギャンブルの借金を負担するなんてことはないわよね?!
もう聞きたくない。
まず、相手の趣味やギャンブルなどでできた借金についてのあなたの負担義務はありません。
もし、離婚理由が上記のようなものが原因の借金であれば安心してください。
しかし、結婚生活をしていく上で必要で購入したものについてのローンや借金は、マイナスの共有財産になりますので、財産分与しなくてはいけません。
例)
例えば、夫が1,000万円の貯金を持っているとして、妻には財産も借金もないと仮定します。
夫婦生活のために夫は500万円の債務を負っていたとします。
債務を無視して考えたら1,000万円を2等分し、500万円ずつ分配すれば良いですが、この場合は夫の保有する1,000万円から債務の500万円を差し引いて、残った500万円を2等分するということになります。
何故なら、結婚生活中に必要であり、背負った債務なのでその分も2等分されるからです。
簡単に言うと今現在夫婦が持つ財産から、債務(ローンや借金)を差し引いた金額を財産分与の対象とするわけです。
もちろんその債務の理由やその他の財産状況によって変化することもありますが、この考え方が財産分与の基本となります。
また債務の方が財産よりも多い場合は、どうなるかと言うと答えは夫の財産状況が赤字と言う事は分与する財産は無いということになり、妻は財産分与を受け取れません。
しかし言い方を変えると、妻は債務(借金やローン)も受け取らなくていいと言うことです。
ここでオーバーローンとアンダーローンと言う言葉が出てきます。
アンダーローンとは
例えば住宅などを売却する時、住宅のローンの残りが、査定額より少なくローンを上回る場合これをアンダーローンといいます。
プラスの利益分を財産分与すれば良いので特に問題はありません。
オーバーローンとは
もしローンが売却しようとしている住宅等の価格を上回ってしまう場合ことをいいます。この場合はマイナスとなる評価額を預貯金やその他の財産で相殺し、残った財産で財産分与をすることになります。
しかし、現実的にはどちらかが家を所有しどちらかがローンを払い続けるなどの方法がとられることが多いのですが、現在住宅ローンを支払っている方がそのまま住宅に住み続ける場合であれば特に問題はありません。
ただし、ローンを支払っていない方が住宅を譲り受けた場合、ローンの債務者が支払いを怠ってしまったがために、住宅を取り上げられてしまうなどと言う事例もあります。
もし夫がローンを支払い続け、妻が住宅を譲り受けるなどと言う場合は公正証書の作成をおすすめします。
万が一の時に泣き寝入りしなくて済むように準備しておきましょう。
5.年金や退職金、生命保険も財産分与は可能です
取り乱してごめんなさいね!
旦那がもっと歳とったら、年金とか退職金とかも出ると思うけど。
そのことについて、下の説明を見てみよう。
実は、年金や退職金、生命保険も、財産分与が可能となります。
退職金の財産分与は?
例えば離婚時にすでに退職金が支給されていたとします。その場合は財産分与の対象となります。
実質的な婚姻期間(別居を抜いた)が何年あるか、またどれだけ妻が貢献していたのかが財産分与の基準となります。
例えば夫が40年勤務していて、婚姻期間が20年間と言う場合は、退職金20年分の50%財産を分与の対象とできます。
また離婚時にまだ支給されていない退職金についても直接財産分与の対象になるわけでは無いですが、退職金の維持形成に貢献した同居期間を寄付対象として、財産分与の対象とした事例もあります。
しかし、退職金をまだもらえていない状態で、退職金がもらえるまであと10年以上あるなどと言う場合は、会社の倒産等の恐れもあるので退職金は財産分与の対象とはなりません。
年金の財産分与は?
また年金の財産分与は2008年以降に結婚した夫婦の場合は年金事務所に出向いて手続きを行えば50%が受けられます。
2008年以前に結婚した夫婦の場合は年金分割の請求を行えば離婚後2年以内であれば、財産分与を請求することができます。
年金分割の対象となるのは、共済年金と厚生年金であり、国民年金は対象外となりますのでご注意ください。(年金の資格期間は25年間の為、5年以上年金を支払っている必要があります。)
また年金分割は、50%を受け取れると言うものではありますが、一生分と言う意味ではありません。婚姻期間分のみの年金を受け取れると言う意味合いです。
生命保険の財産分与は?
生命保険の財産分与をする場合は、解約返戻金証明書と言うものがありその中に記載されている金額を基準とし、2分の1ずつにします。
解約返戻金とは、今までの支払い総額のことではなく、今現在保険を解約した場合にどれぐらいのお金が戻ってくる日を記載した金額ですので、しっかりと確認しましょう。
参考までに司法統計年報3家事編平成10年データによると、
実際に離婚時に財産分与を受けることが出来た金額の統計は(慰謝料と財産分与を含めた金額で)
1,000万円超え | 約10% |
1,000万円以下 | 約8% |
600万円以下 | 約10% |
400万円以下 | 約21% |
200万円以下 | 約19% |
100万円以下 | 約15% |
50万円以下 | 約7% |
30万円以下 | 約6% |
総額不明 | 約4% |
と出ています。様々な家庭の事情と家庭ごとの共有財産の総額は異なりますので、必ずしもこの割合でもらえる確率が高いと言うわけではありません。
あなたの家庭の場合はいくらもらえるでしょうか?
下記の例題で財産分与額の計算方法を見てみましょう。(離婚調停で2分の1の財産分与をするという計算です。)
まず、条件として夫と妻両方に、共有財産がプラスもマイナスも含めてあります。
パターンA
●銀行預金と現金→合計1,000万円(夫800万+妻200万円)
●生命保険の解約払戻金→100万円(夫)
●株券などの有価証券→300万円(夫)
●住居→−500万円(オーバーローンで全ての名義は夫)
●カードローン→−100万円(家族生活費に妻が使用)
●退職金(または相当額)→400万(夫)
といった場合、1,000万円+100万円+300万円−500万円−100万円+400万円=1,200万
これが共有財産となり、それを2で割ると600万円ずつの財産分与となります。
パターンB
●銀行預金と現金→合計600万円(夫350万+妻250万円)
●生命保険の解約払戻金→150万円(妻)
●自動車→25万円(夫名義でオーバーローンの場合。また売却せずに夫が乗り続ける)
●住居→300万円(アンダーローンで全ての名義は妻)
●カードローン→−150万円(趣味に夫が使用)
●退職金(または相当額)→500万(夫)
この場合、夫が趣味で使用したカードローンは財産分与対象外となり、また自動車は夫が譲り受ける代わりに妻に現金で25万円支払う事になります。
600万円+150万円+300万円+500万円=1,550万円
これを2で割り775万円なので夫は775万と妻は自動車の25万円を現金で分与され800万円の財産分与となります。
これらはわかりやすく金銭化して計算してみましたが、実際は物で分与するパターンもあるかと思いますが、ご自分の家庭の共有財産に当てはめて、あなたがいくら貰えるのかの計算をするのに役立てて見てください。
6.あなたが財産分与で損をしないための4つの対策
とにかく貰える財産が分かったから、少しでも損をしないようにしたいわ!
それさえ押さえていれば、損をせずに財産分与を受けることができるよ。
いろいろと、財産分与についてお話ししてきましたが、あなたが財産分与で損をしないために、4つの対策をとることをおすすめします。
その1.絶対に何も考えずに離婚しましょうなどと言わないこと
相手に先手を打たれて財産隠しをされてしまわないようにするために大切なことです。
万が一、相手に財産隠しをされても大丈夫なように、日ごろから給与明細のコピーなど取っておくこともオススメです。
その2.事前に財産を隠されてしまう前に、しっかり共有財産を把握しておくこと
もし財産を隠されてしまうととても腹が立ちますが、現在の日本の法律では、夫婦間の財産隠しは犯罪ではないので、法で裁くことができません。
よくあるのが離婚の話を切り出された直後に、あったはずの保険証券がなくなってしまったり、預金口座から現金が抜かれていたりすること。
日ごろから通帳や郵便物などを見て、銀行や支店名などを把握しておきましょう。
その3.裁判所を通して調査を依頼することで全財産を調べておくこと
調査嘱託申立書を申請することで、裁判所から全財産を開示するよう会社や銀行に求めることができます。
片方が全財産の開示に応じない場合に有効となります。
ただし申立書には詳細な理由を書く必要があり、開示を求める対象も、大体で書いてしまうと後々必要な情報が得られなくなってしまうので要注意です。
財産を隠されてしまった後では見つけようがなく、調査嘱託申立書を申請しても、銀行や支店名等がなければ調べてもらうことができないので、そこだけは覚えておきましょう。
調査嘱託申立書は下記よりダウンロード出来ます。
http://www.courts.go.jp/chiba/saiban/tetuzuki/l4/Vcms4_00000347.html
その4.自分1人で解決しようとせず弁護士に相談をすること
財産分与するにあたって、弁護士が必須ではありませんが、離婚の財産分与の問題はとても複雑でデリケートです。
素人の知識では解決できないこともたくさんありますので、離婚財産分与に強い弁護士に相談してみることが非常にお勧めです。もちろん費用はかかりますが、損にならないように働きかけてくれます。
7.実際にあった財産分与トラブル体験談と成功体験談
では最後に、実際に財産分与でトラブルがあった方の体験談をご紹介します。
Aさんの場合 夫のモラハラが原因で離婚。しかしなかなか離応じず財産分与の金額でトラブル。弁護士に相談で解決
普段からモラハラの多い夫に限界を感じ、離婚を申し出た妻でしたが、離婚に応じてもらえず弁護士に相談。弁護士側から受任通知を夫に送り、夫もすぐさま弁護士に依頼をしました。
離婚調停になり双方の財産開示を行ったところ、夫側は夫の財産は予想していたよりもはるかに貯金額が少ないことと、それを妻が浪費をしたためだと言い張り、その分を持ち戻して計算すべきだと主張されました。
また妻側も夫の将来支給される退職金を財産分与の対象であるべきだとの主張で、双方の合意にはなかなかつながらず、裁判所から妻の主張を認めた上で調停案を掲示してもらい、最終的には妻に有利な計算方法に基づき算定された金額の支払いで調停は成立しました。
もし、これが夫婦間の話し合いだけであれば、妻はモラハラな夫に言葉で押さえつけられ、妥当な財産分与を受けることができなかったでしょう。
Bさんの場合 夫のギャンブル借金で何も財産がない上に蒸発という最悪な状況。諦めていたが、将来の年金を一括で財産分与に成功
夫は新聞社に勤務していたもののギャンブル好きで消費者金融などの借金を繰り返し、自宅すら借金返済のために売却。その後夫は自分勝手に蒸発してしまう。
妻は百貨店の和服の下手をしながら生計を支え男子2人を育てあげました。
夫婦の財産等は何もなかったのですが、夫は新聞社に30年近く勤務していたことにより、年額90万円の厚生年金が共有財産にできると思われ、60歳の夫の平均余命を約20年と計算し、60歳から75歳まで生存するとすれば受給期間は15年間となり約832万円程度の年金が計算されました。
妻は諦めずに東京地裁で申し立てをしたことにより上記のうちの400万円を分与されたという事例です。
Cさんの場合 口約束で離婚成立してしまった事で何も貰えずに泣き寝入り
性格の不一致が原因で7年間の結婚生活を終了し、離婚する際に養育費や扶養費の支払いを約束しましたが、特に何も契約書を交わさず口約束のままで離婚。
今までの結婚生活では、きちんと生活費を入れてくれていたしと、ギャンブルや女癖もなく夫を信じきっていたのですが、次第に支払いは途絶えました。
その後いくら催促してもあやふやに終わらされてしまって支払い拒否。
離婚協議書をきちんと作成し、公正証書などを準備しておけば給料や財産の差し押さえの強制執行ができたのに、何も準備せずに離婚してしまったためとても後悔する羽目になりました。
(この場合も、離婚後2年以内であれば財産分与の請求をすることができます。また養育費に関しては子供が成人するまでであれば時効は無いのでいちど弁護士に相談してみるのもオススメです)
下記は実際にあった離婚時の財産分与でのトラブル判決事例の裁判所データです。
(会社経営者の夫の酒乱とDVが離婚理由でしたが、財産分与をはじめは協議離婚で決定したものの過大な請求であったとして最高裁判所で審判を受け、正当な金額の支払いに請求し直す結果となったと言うものです)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/225/052225_hanrei.pdf
しっかりとした財産分与の準備をすすめる事がとても大切であると言うことが言えます。
しっかりとした財産分与の準備と言っても、一番意識すべきことはコレなんです。
→離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?
8.まとめ
これで私も損をせずに離婚の取り決めができそう!
旦那さんの特有財産をこっそりとるようなことはしないでね。
離婚を決意した後、財産分与で夫婦間でトラブルになる事はたくさんあります。
財産分与の請求方法は、
①夫婦間の協議の上で請求する
②離婚調停で請求する
③離婚裁判で請求する
という方法があります。
最後の最後まで、いがみあって嫌な思いをお互いにしなくて済むように、きちんと計画をして話し合いで離婚できるのがベストですが、なかなかそうも行かない場合は第三者の弁護士などを入れて、話を進めるのも1つの選択肢です。
後々お互いが嫌な思いをせずに新しい人生をスタートできるようにしっかりと財産分与について学んでおきましょう。
今のあなたのこの苦労がきっと報われる日が来ます。
離婚の時にも財産分与ってあるじゃない?いまそれで悩んでるの。
財産分与って、一体なんなのよもう!!