リリ子さんでも緊張することあるんだね。
じゃあ今日は、離婚調停の成立・不成立の条件とか流れとか、訴訟に影響があるのかとか・・・
そういったことを勉強していこうか!
離婚調停が始まった時、多くの方はたくさんの不安や悩みを抱えていると思います。
またほとんどの方がこれまで調停や裁判所自体に縁がなく、初めての離婚調停、初めての家庭裁判所でたくさんの戸惑いや疑問も抱えていると思います。
離婚調停について事前に知っておくことで無駄な労力を少なくし負担が軽くなることもあります。
・時間はどのくらいかかるのか?
・この離婚調停は成立するのかしないのか?
・手続きはどうすればいいのか?
・もし取り下げをした場合には裁判には持ち込めないのか?
などについて、ご説明していきます。
わからないことだらけの離婚調停をスムーズに進めるために、ぜひ読み進めてみてくださいね!
離婚調停と同じくチェックしておきたいのが「マイホーム」の問題です。
離婚の際にトラブルになることが多いこの問題、早めに解決できるようにするためのたった一つの方法がこちら!
目次
1.離婚調停のおおまかな流れと、かかる期間について
まずは離婚調停のおおまかな流れと期間から説明していくよ。
まずは、離婚調停にかかる期間はどのくらいなのか、どのような流れになっているのか、という点について見ていきましょう!
◆離婚調停にかかる期間の目安は?
離婚調停にかかる期間ですが、最も多いケースは3ヶ月以上半年以内になります。
もちろんそれより早く終了したり、1年・2年とかかるケースもあります。
長引けば長引くほど気力も体力も消耗していく離婚調停。できれば早く終わって欲しいですよね。
早く終わらせるために用意しておいたほうがいいものについては、こちらの記事をチェックしてみてくださいね!
参考・参照:裁判所「平成27年 司法統計年報 3 家事編」
では次に離婚調停がどのように進んでいくのか順番に見ていきましょう。
◆離婚調停の大まかな流れ
離婚調停の大まかな流れとしては、以下のような流れになっています。
目安として参考にしてみてくださいね。
①: 離婚調停の申立て
離婚調停を行なうためには、まず家庭裁判所へ申立てをします。
原則、相手方の住所地を管轄している家庭裁判所への申立てをします。
“妻が申立てをする場合=夫の住所地の家庭裁判所”
“夫が申立てをする場合=妻の住所地の家庭裁判所”への申立てになります。
ただし夫婦が合意していれば他の家庭裁判所への申立ても可能です。(管轄の合意といいます)
その他、一般的に申立てに必要な費用や必要な書類は以下になります。
申立て人 | 〇夫 〇妻 |
申立て先 | 〇原則、相手方の住所地の家庭裁判所。 〇当事者が合意で定める家庭裁判所(合意管轄)【裁判所の管轄区域】 |
費用 | 〇収入印紙 1200円分 〇連絡用の郵便切手 約1000円(申立て先の家庭裁判所へ確認) 〇戸籍謄本(全部事項証明書) 一通450円 |
必要書類 | 〇申立書・申立書写し1通【申立書ダウンロード・記入例】 〇標準的な申立添付書類 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書) 〇年金分割割合についての申立てが含まれている場合→年金分割のための発行日から1年以内の情報通知書※※情報通知書の請求手続きの問い合わせ先:年金事務所,各共済組合又は私学事業団の窓口その他必要に応じて追加書類の提出や各家庭裁判所が定める書式(申立書付票等)へ記入する場合があります。 |
②:期日通知書による調停日時の連絡
第一回目の調停日が決まると夫・妻それぞれに期日通知書(呼出状)が届きます。
呼出状は申立てをしてからだいたい2週間~4週間で届く事が多いです。
また申立てをした家庭裁判所によっては、調停日を電話で調整してくれる場合もあります。
申出者のみ連絡がある場合、夫婦それぞれに連絡がある場合があるようです。
連絡があった場合、もしわかるようであれば相手方の都合の良い日もご自身の予定と一緒に伝えると良いでしょう。
第一回目の調停はだいたい1ヶ月~2ヶ月後になります。
申立てをした家庭裁判所の混雑状況や、年末年始やお盆休みなど時期によっても異なります。
③:第一回目の調停
全体でかかる時間はだいたい2時間~3時間くらいになります。
待機をする待合室と裁判官1名と調停委員2名がいる調停室というところがあります。
待合室で待っているとまず申立人が調停室に呼ばれて30分くらい話します。
次に相手方も同じく30分くらい話をします。
双方が話し終わるともう一度申立人→相手方の順に調停室へ呼ばれ、お互いの主張が伝えられ話します。時間は同じく一人30分くらいです。
離婚調停なのですから、配偶者に会いたくないという方も多いでしょう。
調停日は夫婦で同じ日ですが、待合室は別々になります。
調停も交互に行ないますので、着く時間・帰る時間あとはトイレなどに気をつければ調停中に相手と顔を合わさない事は可能です。
家庭裁判所側にも、相手方に会いたくない旨を伝えておきましょう。
④:第二回目以降の調停
第二回目以降の離婚調停も当日の流れは第一回目とほぼ同じです。
期日は前回の調停からだいたい1ヶ月後になりますが、これも家庭裁判所の混雑状況等で変わってきます。
⑤:離婚調停の終了
辛く長い離婚調停にも終わりは来ます。
誰しもより良い結果を望んで調停に挑んだと思いますが、離婚調停は必ずしも成立するとは限らず、不成立等で終わる場合もあります。
どんな時に成立してどんな時は不成立になるのか?また結果が出たその後何をするべきなのか?
以下で詳しく解説していきます。
2.離婚調停 気になる成立・不成立の条件とは?
長引くとやっぱり嫌よね~。
ちゃちゃっと済ませたいところだけど、そううまくいかない場合も多いからね。
じゃあ不成立は??
次は、離婚調停の成立と不成立の条件について見ていこうか!
まず離婚調停とは調停委員や裁判官、場合によっては弁護士さんに手助けしてもらいながら、家庭裁判所で行なう話し合いです。
あくまで話し合いですから、様々な理由から話がまとまらずに成立しないということも多いです。
成立・不成立の条件をそれぞれ見ていきしょう。
◆離婚調停が成立する条件
離婚調停が成立する条件としては、以下のようなものがあります。
① 離婚調停成立
離婚調停での話し合いの結果、離婚すること自体はもちろんの事、それに伴う様々な条件にまでお互いが合意できた場合、調停成立と同時に離婚となります。
その後、離婚届を役所に提出しに行きますが、離婚は成立していますので報告的届出となります。
注意点として戸籍に離婚調停成立日の記載が残ります。
② 調停の場で離婚届けを書いた場合
調停の場で離婚届を書いて、その後役所に離婚届を提出する場合もあります。
この場合、離婚届用紙と離婚届の証人が必要ですが、戸籍に離婚調停成立日の記載はされません。
離婚届を役所に提出・受理された時点で離婚成立となりますので、離婚届を提出しなかった場合は離婚が成立しません。
その他にも離婚調停の結果、すぐに離婚はせずに当面別居する、同居し関係修復を図っていくという場合、それに伴う様々な条件についてお互いに合意し調停成立となる場合もあります。
◆離婚調停が不成立になる条件
それでは、離婚調停が不成立になる条件にはどのようなものがあるのでしょうか。
①折り合いがつかない場合
調停離婚成立の条件は、離婚とそれに伴う様々な条件にお互いが合意することでしたよね。
ですが、相手方に離婚する気がまったくなく離婚自体合意に至らない場合や、離婚にはお互い合意していても、お子さんの親権や養育費・慰謝料・財産分与などなど様々な条件で折り合いがつかない場合などもあります。
これ以上話し合いを続けてもまとまる見込みがないと裁判官・調停委員に判断すれば、離婚調停は不成立となります。
②話し合い自体を拒む場合
相手方が話し合い自体を拒み、調停に欠席し続ける場合もあります。
この場合も調停を続けることができず不成立と判断させることになります。
離婚調停の終わり方として、その他にも以下の3つの場合があります。
・取り下げ
・当然終了
・調停をしない(なさず)
〇取り下げ
申立て人が調停を取り下げたいと思った時にいつでも行なうことができます。
相手方の同意は不要で、手続きも調停期間中に取下書を提出するだけです。
〇当然終了
離婚調停中に夫婦のどちらかが亡くなったことで終了するケースです。
〇調停をしない(なさず)
ほとんど行われていない終わり方ですが、調停手続きの濫用(一度離婚調停不成立になったすぐ後に離婚調停の申立てが行われた時)や申立て人が欠席が続く場合などに、裁判官・調停委員が調停を行わないと判断することもあります。
3.取り下げって?不成立との違いは?離婚訴訟への影響は?
あと、その場で離婚届を書くのってスムーズでいいわよね。
じゃあ次は、リリ子さんが気にしてた取り下げと離婚裁判の話をしようかな。
調停を取り下げた場合、離婚訴訟への影響があるのかどうかも、気になる点ですよね。
取り下げと不成立の違いなどについても、見ていきましょう。
◆取り下げとは?
取り下げとは、相手方の同意不要で、申立て人は調停中いつでも行なうことができるものです。
では、せっかく申立てした離婚調停を取り下げるのはどういう場合なのでしょうか?
理由は様々で、調停中にやはり夫婦関係の修復をしたくなった場合などに取り下げることもありますし、調停中にお互い合意ができた時点で取り下げて協議離婚に変更することもできます。
また話し合いがまとまる見込みがない・相手方が出頭しないなどで調停を続ける事が困難と申立て人が判断した場合にも、取り下げることができます。
◆取り下げと不成立の違いとは?
不成立は裁判官や調停委員が調停の継続が困難であると判断するのに対して、取り下げは申立て人の判断で手続きができます。
どちらも離婚調停が成立していないという点では同じなのですが、離婚訴訟に進む場合に注意が必要です。
◆離婚裁判をする場合の注意点
離婚裁判を希望する場合、調停前置主義という制度があります。
これは離婚したいからといっていきなり裁判をするのではなく、「まずは調停で話し合ってみてくださいね。」いう原則規定です。
このため離婚裁判を行なう際には、離婚調停不成立調書という調停が不成立になったことがわかる書類が必要になります。
離婚調停不成立の場合には調停前置をクリアしていますが、取り下げの場合は取り下げをした状況によって異なります。
離婚調停で話し合いをしていても折り合いがつかない・相手方が出頭しないなどの状況で取り下げをした場合には不成立と同じく調停前置を満たしたことになりますが、離婚調停を申立てしてすぐに取り下げた場合は調停前置を満たしたといえません。
離婚裁判に進むべく取り下げをする際は、調停前置を満たしているか事前に家庭裁判所に確認したほうがいいでしょう。
さらに詳しく離婚調停について知りたい方は、こちらもチェック!
→【漫画で納得!】これを知らないと損をする!離婚調停10のポイント
4.離婚調停 結果が出た後はどうすればいい?
離婚調停が終了後に何をすべきか?
それは、成立なのか不成立なのかの結果によって異なります。
結果毎に見ていきましょう。
◆離婚調停成立の場合
離婚調停が成立したからっといって終わりではなく、まだ離婚届提出などの手続きが残っています。
また手続きの期限もありますので注意が必要です。
〇離婚届けの提出
届出義務者 | 〇原則、申立て人 |
届出期限 | 〇離婚調停の提出の日を1日目として、10日目まで |
届出先 | 〇本籍地 〇もしくは届出人の所在地の役所 |
必要書類 | 〇離婚届け 〇離婚成立の調停調書の謄本 〇本籍地以外に届出する場合戸籍謄本(全部事項証明書) |
離婚届けの書き方ですが、離婚調停が成立している場合は、証人不要です。
また夫婦の署名・捺印も不要で届出義務書の署名・捺印のみで構いません。
〇離婚後も婚姻時の姓を使い続ける場合
離婚調停成立の日から3ヶ月以内に役所へ届け出る必要があります。
〇お子さんの姓の変更
親権がどちらにあるかに関わらず子の戸籍や姓はそのままです。
もし子の戸籍や姓の変更を希望する場合には、家庭裁判所で子の氏の変更の許可の審判をし、役所への届け出が必要です。
その他にも年金分割、年金の被保険者資格の変更、健康保険の切替、氏名や本籍等変更に伴う本人確認書類等の各種変更手続きなどなど、必要に応じて様々な手続きがあります。
離婚調停が成立するとついついホッとして気が緩みがちになると思いますが、手続きまで終わって離婚完了です。
調停成立まで十分がんばったと思いますが、あと少しです!
◆離婚調停 不成立の場合
不成立が終わってしまったらもう離婚できないのか?心配になるところだと思いますが、離婚できないわけではありません。
不成立で終わった場合にも以下の3つの方法があります。
① 協議離婚
調停委員に間に入ってもらってもまとまらなかった話し合いを、当事者間だけでまとめるのは難しいと思いますが、調停離婚後に協議離婚をすることも可能です。
② 審判離婚
離婚調停が不成立に終わっても、裁判官が離婚を言い渡すことができるのが審判離婚です。
調停委員の話を聞いた上で、当事者双方にとって離婚することが妥当と裁判官が判断した場合に行なわれます。
ですが、審判確定後2週間以内に異議申立てがあれば無効になってしまうこともあり、実際にはあまり行われていません。
参考・参照:厚生労働省「第6表 離婚の種類別離婚件数の年次推移-昭和25~平成20年-」
③ 離婚裁判
離婚調停が成立しなかった場合、離婚裁判に進むことが多いです。
訴訟には訴状の作成などが必要ですので、弁護士に依頼せずにご自身で行なうのは非常に困難だと思います。
不成立から2週間以内に訴訟提訴をした場合、離婚調停申立て時の印紙1200円を離婚裁判の手数料に充当できます。
ただしこれは2週間以内に手続きしなくてはいけないということではないので、慌てずよく考えて離婚裁判をするのかしないのか決断しましょう。
5.不成立に納得ができない!そんな時は?
折り合いがつかないってことなら、離婚調停の取り下げをしても、大丈夫なのね♪
離婚調停は意外と融通がきくんだよ。
・・・ってなったら覆せる??
次はそのことについて見ていこうか。
離婚調停の結果に不成立なり納得ができないといっても、その結果を覆すことはできません。
再度、離婚調停を起こすことはできますが、家庭裁判所で一度不成立と判断されたわけですから、間を空けず・状況も変わっていない状態で再度申立てをしたところで意味がありません。
やはり一度話し合いでの解決が難しいという判断になった場合には、離婚裁判へ進むことが多いです。離婚裁判についてもう少し詳しくご説明します。
まず離婚裁判では以下の法定離婚理由(民法770条)が必要になります。
- 配偶者に不貞行為があった場合
- 配偶者が正当な理由もなく同居・協力・扶助の義務を怠った場合
- 配偶者の生死が三年以上不明な場合
- 配偶者が強度の精神病等にかかり回復の見込みがない場合
- その他、婚姻の継続ができない重大な事由がある場合
また、原則として、離婚原因を作った側からの離婚裁判の提訴は認められていません。
しかし以下の3つの要件を満たせば有責配偶者からの離婚請求ができます。
- 相当長期の別居期間があること(一般的に6年以上だがケースバイケース)
- 夫婦に未成熟子がいないこと
- 配偶者を精神的・経済的に過酷な状況にしないこと
現時点で要件を満たしていない有責配偶者であった場合には、離婚裁判を提訴することはできませんので、別居期間を設ける等が必要になってきます。
まとめ
わかんなかったことが分かって、すごく気分がいいわ!
離婚調停は様々なリスクがあり、精神的にも肉体的にも大変なものです。
長引けば長引くほど、心身ともに疲弊していきます。
お子様のためにもお互いのためにも、一刻でも早く、できるだけ簡単に離婚調停を終わらせたいものですね。
そのために離婚準備はしっかりと行なうことが大切です。
確保すべきものはしっかりと確保し、譲れるところは譲って、ぜひともスムーズに調停を進めてください。
これをご覧になっている方々とそのお子様の大切な未来のために、より良い結果が出ることを願っています。
離婚調停のこと考えてたら、緊張してきちゃった!