いつもと違って、今日は随分率直だね。
離婚裁判は、そんな軽いノリで起こせるものじゃないから、今日しっかり知識をつけておこうね。
離婚が頭によぎるくらい冷めきった夫婦関係を、清算したいと思っていませんか?
ですが、
- 相手がなかなか離婚に納得してくれない。
- 離婚には合意していても、条件面でもめている。
- 離婚裁判をしたら世間体が悪いのではないか
- どうして離婚したいのかが周りに知られてしまうのではないか
- 本当に自分に有利な条件で離婚できるのか
- 弁護士費用など沢山のお金が必要になるのでないか
このような悩みを抱えていませんか?
日常生活の中では縁遠いことが多い裁判を起こすということに抵抗感を感じる。そもそもどうやって離婚裁判を起こせばいいのか分からない。という人も多くいます。
またせっかく離婚裁判を起こすなら、自分にとって有利な条件の判決を得たいですよね。
このような悩みを解決していくための方法をご紹介して行きます。
そもそも離婚裁判とは何かという事から、自分にとって有利に裁判を進めていくためのポイントなど、これから離婚裁判に臨むために必要なことをまとめています。
離婚裁判はいつでも誰でも、どのような事情でも起こせるわけではありません。
離婚裁判を起こすための条件についても詳しくご説明します。
まずはしっかりと準備をして、最後にすっきりとした未来を勝ち取れるようにしましょう。
そして、離婚に際して忘れてはならないたった一つのコトも要チェックです!
目次
1.知っているようで知らない離婚裁判のこと
離婚裁判ってなんだっけ!?
まずは、離婚裁判がどんなもので、どういう条件で裁判を起こせるのかを見ていこう!
人の気持ちというのはどうしてもずっと同じものではいられません。
どんなに好きで、この人とずっと暮らしていきたいと思って結婚をした相手でも、一緒に暮らしていく中で性格が合わないなと感じたり、他に好きな人ができてしまったり、修復が出来ないくらいの喧嘩をしてしまったり。
心の変化から起こるさまざまなトラブルも起こります。
好きという気持ちがあったからこそ、関係性がこじれてしまうと余計に、離婚についての話し合いも難しくなってしまうケースが出てきます。
話し合いでの離婚が難しいなら、裁判で離婚を決めればよいのではないか。このように思っているかもしれませんね。
ですが、裁判で離婚を決めるといっても、そもそも離婚裁判がどのような物なのかがわからなければ、裁判を起こせません。
はじめに離婚裁判とはどのようなものなのか、ということをしっかりと把握しましょう。
1.離婚裁判とはどのようなものか。いつでも起こせるのか
離婚にはいくつかの種類があります。
協議離婚
調停離婚
審判離婚
裁判離婚
この4つです。
1)協議離婚とは
離婚をするときには、まずは当事者同士が話し合いを行って離婚を決め、離婚条件などを決めることになります。この段階で離婚が決まると、「協議離婚」となります。
2)調停離婚とは
当事者同士だけではどうしても話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、裁判所で調停委員に仲介をして貰いながら離婚についての協議を行っていきます。
申立てた方の当事者を申立人、もう一方の当事者を相手方と呼び、調停を勧めます。この調停で合意を得られれば、「調停離婚」となります。
3)審判離婚とは
審判離婚はすでに調停で大まかな合意を得ているものの、何かしらかの理由で調停が成立しない場合に家庭裁判所が審判によって離婚を確定するものです。年間でも100件程度しかない稀なケースです。
4)裁判離婚とは
当事者同士での話し合いもつかない、調停でも成立ができない。でも離婚をしたいという場合に、家庭裁判所に対して起こすのが離婚裁判です。
訴訟を起こした人を「原告」と呼び、訴訟を起こされた人を「被告」と呼びます。
お互いの主張で争い、最終的に裁判官が「判決」によって離婚をするのかしないのかを決定することになります。
判決というのは司法の判断です。司法が決定した内容は必ず履行されなければなりません。裁判で離婚という判決が出れば、その夫婦は離婚することになります。
これが「裁判離婚」です。
離婚をどうしてもしたくない場合には、上告をして家庭裁判所から高等裁判所や最高裁判所など、上位の裁判所で争うケースもあります。
最初から離婚裁判は起こせない
どうせ話し合いなんて無理な状況だから、はなから離婚裁判を起こしたほうが早そう。と思う人もいるかもしれません。
日本では「調停前置主義」といって、離婚裁判を起こす前には必ず調停を申し立て、離婚調停を行わなくてはなりません。
結果的に離婚裁判になるとしても、当事者同士の話し合いを行い、離婚調停を行ってからでなければ、裁判を起こすことはできません。
後でご紹介しますが、裁判を起こすための書類として、離婚調停が不成立となったという調停調書が必要になります。この調書を作るために、裁判の前には離婚調停を申し立てる必要があります。
順番として「協議」→「調停」→「裁判」という流れになります。
離婚方法についてより詳しく知りたい方はこちら!
→【納得できる離婚のために】6つの離婚の仕方と円満離婚の7つの約束
2.離婚理由は何でもいいの?離婚裁判を起こすための5つの条件
協議離婚や調停離婚の場合には、基本として当事者同士が話し合いを行って離婚を決めるため、実は離婚理由はどのようなものだとしても、合意さえできれば離婚という結末を迎えることもできます。
- 自分が浮気をして浮気相手と結婚したいから婚姻中の人と離婚したい
- 婚姻中のパートナーの態度が気に入らないから離婚したい
- 結婚してみたものの、やっぱり合わないと思うから
極端な話、このような理由でも話し合いで合意できれば協議離婚や調停離婚で離婚は可能です。
ですが、裁判はお互いの話し合いではなく、司法判断という非常に強制力を持つものなので、どのような理由でも離婚裁判を起こせるわけではありません。
民法に定められた、法的な離婚理由に当てはまらなければ、離婚裁判を起こすことはできません。
では離婚裁判を起こせる法的な離婚理由とはどのような物なのかを確認しましょう。民法770条にその内容が記載されています。
1項 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一号 配偶者に不貞な行為があったとき。
二号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三号 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2項 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
かなり具体的に法的な離婚理由は定められています。
民法770条第1項に挙げられている5つの条件に当てはまらなければ、離婚裁判を起こすことはできません。
さらに、この条件に当てはまることが実際に合ったことが立証できる証拠が揃っていることも必要となってきます。
性格の不一致やセックスレスといったことは、確かに1項5号の「その他離婚を継続しがたい重大な事由があるとき」に当てはめようと思えば可能ですが、それだけでは裁判を起こすことはできません。
5号以外に匹敵するような事情がなければ、離婚裁判を起こすことは難しくなります。
それほど離婚裁判を起こすための条件は厳しく、重大な理由が必要になってきます。
くわしくはこちらの記事も参考にしてみてください。
※性格の不一致・セックスレスは離婚できる?離婚したい人が知るべき5つの条件
【素朴な疑問】性格の不一致で離婚は可能?慰謝料は?どの程度の不一致が必要なの?
離婚裁判は、平和的な解決をするための手段というよりは、強制的に司法に判断をして貰うものになります。
それゆえに離婚裁判は泥沼化しやすくなります。離婚裁判を起こした人も、起こされた人も、精神的な疲労を感じ、中には心療内科などに通う必要が出てくるケースもあります。
それだけ大変であることは、前もって知っておく必要があります。
2.みんな離婚裁判をしているの?離婚裁判の割合とは?
あ、そういえばこの前、法的離婚理由について教えてもらったっけ・・・?
それから、調停が不成立になっていないと、離婚裁判は起こせないから注意しないとね。
それについてはデータがあるから、チェックしてみよう。
離婚に至るまでには順序があり、裁判による離婚は離婚の中でも最終的な手段だということがわかっていただけたかと思います。
ただ、今離婚裁判を考えているという方の中には、すでに協議も決裂し、調停も不成立になりそうという方もいるのではないでしょうか。
裁判はかなり大掛かりで、精神的にも大変ということなら、そこまでして離婚をする人はとても少ないのではないか。と思う人もいるかもしれませんね。
実際に離婚裁判で離婚をする人はどのくらいいるのかを調べました。
厚生労働省では過去4回(昭和59年度、平成2年度、平成11年度、平成21年度)離婚に関する統計をまとめ発表しています。出典:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/dl/gaikyo.pdf
最新の平成21年度の統計によると、平成20年(2008年)の離婚件数は251,136件でした。
このうち87.8%は協議離婚、つまり夫婦の話し合いによって離婚を成立させています。さらに9.7%は調停で離婚が成立している調停離婚になっています。
残り2.4%が離婚裁判によって離婚をしているということになります。
離婚裁判によって離婚をした2.4%の方の中には、司法判断、つまり判決によって離婚が成立した方は1.0%です。残り1.4%は和解離婚といって、離婚裁判中に和解をして離婚を成立させています。
判決離婚と和解離婚・認諾離婚の違いとは?
離婚裁判を起こすと、最終的には司法判断によって判決がでて、離婚するかしないかが決定すると思われがちですが、離婚裁判では必ずしも判決が出るわけではありません。
裁判離婚の中には、和解離婚、認諾離婚、判決離婚という3つの離婚の種類にさらに細分化できます。
1)和解離婚とは
平成16年に新しく定められた離婚方法の一つが和解離婚です。離婚訴訟の最中に、夫婦が歩み寄り「和解」という形で離婚裁判を終了させる方法です。
離婚裁判と言えばどうしても泥沼の争いと思いがちですが、離婚裁判の多くでは、裁判官ができるだけ両者の話し合いを進めようと舵取りをしていきます。
ある程度歩み寄りがみられ、和解による離婚が見込める時には、裁判官が和解勧告を行い、和解のための話し合いの場が持たれます。
離婚裁判の中でお互いの気持ちが変わり、最終的には司法の判断ではなく自分たちの意思によって離婚に至るのが和解離婚です。
和解離婚をした場合には和解調書が作成されます。判決と同じような効力を持つもので、和解離婚をするときには、離婚届と和解調書を合わせて、確定日を含め10日以内に市区町村役場に提出することになります。
2)認諾離婚とは
認諾離婚も和解離婚と同様に、平成16年に新しく定められた離婚方法の一つです。
離婚裁判では、訴訟を起こした人が原告、そして起こされた人が被告と呼ばれます。
認諾離婚は、原告が訴訟を起こした離婚裁判において、被告が原告の言い分を全面的に受け入れて、争うことなく裁判を終わらせ、離婚を成立させるという方法です。
認諾離婚は純粋に離婚だけを目的とした離婚裁判だけに限られたもので、親権や養育費、慰謝料などの問題が合わせてある場合には使えない制度です。
離婚裁判では離婚そのものだけを争うことが少なく、また協議でも調停でも離婚が成立しなかった場合に裁判となるため、被告側が全面的に原告の言い分を受け入れることも少ないため、認諾離婚での離婚はとても少なくなっています。
厚生労働省が発表している「離婚の種類別に見た年次別離婚件数及び百分率」という資料によると、2016年の離婚件数216,798件のうち、認諾離婚にて離婚をした件数は16件となっています。
認諾離婚の際には、認諾調書が作成されます。認諾調書は判決と同じ効力を持ちます。和解離婚と同様に、確定日を含め10日以内に認諾調書と離婚届を合わせて市区町村役場に提出する必要があります。
3)判決離婚とは
離婚全体の約1%が司法判断による離婚、つまり判決離婚に至ります。
原告の離婚請求を認めるのか、それとも棄却するのかを、裁判所が司法判断によって決定するものです。
つまり、判決離婚の場合には、判決が確定した日を含め、10日以内に判決書謄本と判決確定証明粗と離婚届を合わせて市区町村役場に提出します。
判決に不服がある場合には上位の裁判所に控訴することができます。
離婚裁判は家庭裁判所で行われますが、不服がある場合には高等裁判所に控訴が可能で、さらに高等裁判所の判決に不服がある場合には最高裁判所に上告ができます。
判決離婚は例えば相手が行方不明の場合でも離婚をすることが可能になります。
協議離婚や調停離婚の場合はどうしても相手方との話し合いが必要ですが、裁判離婚では相手の住所などが分からない場合でも、公示送達にて手続きが可能になります。
この場合は和解離婚にも認諾離婚にもなりませんので、判決にて離婚が成立するため、判決離婚になります。
話し合いが全くつかない、意見が平行線のまま、まとまることがない場合も、判決にて離婚をするかしないかを決めることになります。
判決離婚は離婚をしたい側にとっては司法判断で離婚ができるものです。
離婚をしたくない側にとっては強制的に離婚させられてしまう方法になるため、裁判所もできるだけ当事者同士の話し合いを持ってもらいたいという趣旨から、和解離婚を勧めることが多く、判決離婚にまで達することはとても少なくなっています。
3.しっかりと準備!裁判離婚に必要なお金と書類
もーっとたくさんいるのかと思ってたわ。
離婚裁判をするってなると、お金もたくさんかかるでしょ?
用意するものもいくつかあるから、はじめにチェックしておいたほうがいいね!
ここからはいよいよ裁判に向けた準備をしっかりとしていくために必要になるお金や書類についてご説明します。
裁判というと費用が掛かる、準備が大変そうイメージも強いと思いますが、一つずつ確認すれば、一般の人でも準備が出来ます。
1.裁判で必要になるお金の話
協議離婚であれば市区町村役場にある離婚届を貰ってきて、双方が署名捺印をして提出するだけなので費用は掛かりません。
調停離婚の場合にも、かかる費用は約2,000円程度になります。
もしあなたが誰の助けもなく離婚訴訟を提訴し、裁判を戦っていこうと思っているのであれば、約20,000円で裁判は提訴できます。
- 戸籍謄本 450円
- 収入印紙代 13,000円
- 郵便切手代 約6,000円(裁判所によって異なるためと問い合わせをします)
この費用については、純粋に離婚をしたいという事だけに掛かる費用で、財産分与について争う場合や、養育費について争う場合には、必要になる収入印紙代が変わってきます。
とにかく離婚したいだけと言いう場合には、調停費用と合わせて約22,000円あれば離婚裁判を起こすことは可能となってきます。
ですが、離婚裁判に掛かる費用は100万円以上掛かるケースもあると言われています。その理由を細かく見ていきましょう。
1)離婚以外についても争う場合は手数料が増える
離婚裁判では離婚だけではなく様々な権利の獲得を目指すことも多くなります。
・慰謝料
・財産分与
・親権
・養育費
相手方に離婚原因があり、精神的苦痛を受けた場合には慰謝料の請求を行うことは多くなりますし、婚姻中に共に築いてきた財産の分与でもめるケースも多くあります。
子どもがいるという場合には、親権や養育費の問題についてもしっかりと白黒つける必要がありますよね。
裁判の内容が離婚だけであれば、必要になる手数料は13,000円のみなので、収入印紙13,000円で済みますが、その他の内容も同時に争う場合には、手数料がプラスになっていきます。
財産分与について争う場合や養育費について争う場合には、それぞれ1,200円の手数料が必要になります。(親権については手数料がかかりません)
慰謝料の場合には、請求する慰謝料の金額によって手数料が変わってきます。
100万円の慰謝料を請求する場合 | 手数料は10,000円 |
200万円の慰謝料を請求する場合 | 手数料は15,000円 |
300万円の慰謝料を請求する場合 | 手数料は20,000円 |
となります。
詳しい手数料は裁判所の公式サイト内にある手数料早見表を参照してください。
手数料がトータルいくらになるのかは、一度家庭裁判所に問い合わせると間違いなく安心です。
2)法律で認められている離婚原因を立証する必要がある
協議離婚や調停離婚とは異なり、裁判で離婚をするためには、法律に定められている離婚原因があるのかどうかという点が争点となってきます。
つまり、相手方に離婚原因があることを立証する必要があります。
- 相手に「不貞行為」があったこと
- 相手が同居をしない、夫婦生活に協力をしない、扶養義務を果たさないなど「悪意の遺棄」があったこと
- 相手が3年以上にわたり「生死不明」であること
- 相手が「強度の精神病」があり回復の見込みがないこと
- 婚姻を継続しがたい「重大な事由」があること
法的な離婚原因はこの5つに限定されていますから、この原因があることを立証する必要があります。
裁判所では離婚の原因についての証拠を提出することを求めていきますので、証拠を集めるという作業を行う必要があります。
証拠については後程詳しくご紹介していきますが、証拠を集めるための費用も必要です。
相手が言い逃れできない証拠を集めるために、探偵や調査会社に依頼をするケースなどもあり、証拠収集に100万円以上の費用が掛かることもあります。
3)弁護士に相談、依頼をする
調停と異なり、裁判では法律の知識が必要になることが多くなります。
もし、相手方が弁護士に依頼をして裁判で争う姿勢を見せた場合、法律の知識が少ないあなたは不利になってしまいます。
裁判を有利に進め、自分が求めている結論に落とし込むためには、法律の知識を持つ弁護士の協力を得ることが必要になることがあります。
弁護士に相談をしたり依頼をしたりする場合には、弁護士費用が別途必要となってきます。
a.相談料 30分5,000円~
これから裁判で離婚をしたいという時に、弁護士を依頼する前に、相談を行うことになりますが、相談をするだけでも相談料が必要になることが多くなります。
平均的な相場として、30分5,000円としている弁護士は多くなっています。最近では、初回相談料は無料、1時間までは無料としている弁護士事務所も増えてきています。
b.着手金 400,000円~
弁護士に相談をしたのち、実際に裁判の弁護を依頼することになった場合には、着手金を支払うことになります。
安価な弁護士事務所であれば200,000円くらいのケースもありますが、平均的な相場としては400,000円くらいという事務所が多くなっています。
c.成功報酬 400,000円~
裁判が終了すると、成功報酬として支払う費用も必要になります。
基本報酬の平均的な相場は400,000円程度で、さらに依頼者が希望する結果を得られた場合には、成功報酬がプラスされていくこともあります。
成功報酬は安いところでは200,000円~というところもありますし、追加の成功報酬がないという事務所もあります。
d.日当・交通費・宿泊費など
弁護士が裁判所に出向いた場合や、裁判で証言をしてくれる証人や鑑定人などが裁判所に出向いた場合には、日当や交通費、宿泊費などが必要になってきます。
弁護士費用は定められた料金表があるわけではなく、それぞれの弁護士事務所によって料金体系にも違いがあります。いくつかの弁護士事務所で相談を行い、費用の面もしっかりと確認をすることが必要です。
弁護士も人ですから、あなたと合う人、合わない人など、人柄もよく見る必要があります。
長い期間掛かることもおおい離婚裁判の間、あなたの味方となる人ですので、費用の安さだけではなく、相性も確認しながら依頼をする必要があります。
より詳しい弁護士費用の話はこちらの記事を参考にしてください。
【離婚法別にかかる費用】離婚は自分で?それとも弁護士?費用がない時の対処法も!
2.裁判所に提出する書類
離婚裁判を提訴するにあたっては、裁判所に提出する必要がある書類がいくつかあります。
・訴状 2部
・離婚調停不成立調書
・夫婦の戸籍謄本及びそのコピー
・年金通知書及びそのコピー(年金分割を行う場合)
・その他(源泉徴収票・預金通帳など証拠書類のコピー) 2部
それぞれの書類について詳しくご説明します。
1)訴状
訴状は裁判所に対して提出する裁判の開始を求めるための書面になります。裁判所のホームページにひな形があるため、ダウンロードをして作成できます。
記入例もありますので、法律の知識があまりない方でも記載できます。
書式DLと記載例→http://www.courts.go.jp/vcms_lf/32101001.pdf
弁護士に依頼をする場合には、弁護士が書類の作成をしてくれます。
2)離婚調停不成立調書
日本では「調停前置主義」になっていますので、離婚裁判を起こす前には、必ず離婚調停を行い不成立になっていることが必要です。
離婚調停が不成立になった時に、家庭裁判所で作成してもらえる「離婚調停不成立調書」が、離婚裁判を提訴するときには提出する必要があります。
3)夫婦の戸籍謄本及びそのコピー
離婚裁判を提訴する段階では、夫婦の戸籍は同一なので、夫婦の戸籍謄本は1通になります。さらにコピーを添えて提出します。
4)年金通知書及びそのコピー
婚姻期間中、配偶者が厚生年金や旧共済年金に加入していた場合、年金分割ができます。(共済年金は平成27年に厚生年金に一元化されています)
裁判で年金分割を争う場合には「年金分割のための情報通知書」を年金事務所に問い合わせて入手し、そのコピーをとり合わせて提出します。
5)その他
財産分与を求める。養育費を求める。といった場合には、婚姻中に築いた財産が分かる書類や、養育費を支払う被告となる相手方の給与明細や源泉徴収票といった書類が必要になります。
どのような書類が必要になるかは、それぞれの離婚裁判の内容によっても異なってきますので、裁判所に問い合わせをします。
弁護士に依頼をするときには、書類作成を代行してもらえますので、弁護士が求める書類を集めましょう。
3.証拠の重要性と証拠集めの方法
裁判をあなたにとって有利に進めていくためには、相手に離婚原因があることを証明する必要があります。
慰謝料も併せて請求するためには、あたながどのくらい肉体的な苦痛や精神的な苦痛を受けたかを証明することも必要です。
この証明をするための物を「証拠」といいます。
実はこの証拠がしっかりと集められるかどうかによって、裁判を有利に進められるか、進められないかが分かれてしまうこともある、非常に重要なポイントになっています。
具体的にどのようなものが証拠となるのかを、民法770条で定められている離婚事由に合わせてご紹介します。
1)相手に「不貞行為」があったこと
不貞行為というのは、婚姻期間中にあなた以外の人と肉体関係を持つことを表しています。
- あなた以外の人に好意を寄せている
- 一緒に旅行に行った
- 手をつないで歩いていた
- キスをしていた
このような程度では不貞行為とはなりません。
あくまでも肉体関係があったことを証明する必要があります。
ですが、想像してみてください。仮にあなたが不貞行為をしたとして、配偶者にみられるような場所で行うでしょうか?簡単に不貞行為をしていることが分かるような痕跡をのこすでしょうか?
一部のマニアックな方なら、もしかしたら自宅に不倫相手との不貞行為の様子の様子を写真や動画に残していて、それを発見できる可能性もありますが、普通に考えたらないことですよね。
また自分がsexをしている様子を、周りから見えるような状況で行うという事もほとんどのケースで考えられません。
つまり、不貞行為を自分で立証することは、とても難しいことになります。
裁判所でも、不貞行為の様子そのものを証拠として提出することは求めていません。不貞行為を行ったとみなされる状況証拠を求められます。
- 不倫相手と密室で過ごしている(ラブホテルや不倫相手の部屋などに相当の時間二人きりで過ごしている)ことが分かる写真や動画
- 肉体関係を持っていることが推測できる手紙やメールなど
- 不倫相手や配偶者が不倫や不貞行為を認めた書面
証拠となるのはこのようなものになります。
不貞行為の証拠集めは、一般の人が行うのはハードルが高いといえます。
そのため、探偵や調査会社など、プロに依頼をして証拠集めをして貰うことも検討する必要が出てきます。
費用はかかりますが、より確実に証拠を集め、裁判所に証拠として採用してもらえる調査書を作成してもらえます。
くわしくはこちらの記事も参考にしてください。
【妻の浮気】証拠を集めにくい夫が知るべき浮気のチェック方法&証拠集め
【旦那の浮気】怪しい時のチェックポイントと違法にならない証拠集めの方法
2)相手が同居をしない、夫婦生活に協力をしない、扶養義務を果たさないなど「悪意の遺棄」があったこと
婚姻中の夫婦は、お互いに協力をして生活を共にしていく義務があります。
ですが、生活を築いていくための協力をしてくれない。意味もなく勝手に別居するといった行為は「悪意の遺棄」といって、離婚原因の一つになります。
これを立証するための証拠としては
- 家計簿や預金通帳など、生活費の支払い実体がないことが分かるもの
- 別居を始めた日や経緯のメモや日記
- 相手が住んでいることが分かる住民票や賃貸契約書など
- 夫婦関係を破たんさせる意思が分かる相手からの手紙
これらを用意します。
悪意の遺棄の証拠集めは自分でも行えることも多いので、できるだけ自分で集めてみるよう試みてください。
なかなか思うように証拠集めができない場合には、探偵に依頼をしたり、弁護士に相談をしたりするようにします。
3)相手が3年以上にわたり「生死不明」であること
婚姻中の相手が3年以上にわたって生死不明な状態になっていることを証明するためには、まずあなたが相手の事をちゃんと探したことを証明する必要があります。
何となく友達とは連絡を取っているみたいだけど、自分には連絡をしてこないから生死不明として離婚しよう。ということでは、離婚をすることはできません。
本当に生きているのか死んでいるのかも分からない状態が3年以上続いていることを立証する必要があります。
- 警察に出した捜索願の受理証明書や受付番号
- 家族、知人、勤務先、友人などの陳述書
- 災害や事件に巻き込まれた可能性を表す証明書
このようなものを証拠として提出します。
災害や事件に巻き込まれた可能性を表す証明書というのは、例えば配偶者が渓流釣りなどに出かけたものの、大雨が降り出かけたであろう川が増水したことが分かったのち、まったく連絡がとれなくなったといった場合です。
川の増水に巻き込まれてしまい生きているのか死んでしまったのか分からない。という状況を推定できます。当時の新聞記事や雨水の記録などを取り寄せれば証拠となります。
4)相手が「強度の精神病」があり回復の見込みがないこと
認知症や躁うつ病などを患い、治療を続けても回復の見込みがないといった場合には、医師の診断書を証拠として提出することになります。
ただ、全てのケースで離婚が認められるわけではなく、医師の診断書と共に、様々な事情を考慮したうえで離婚を認めるかどうかを裁判官は判断材料としています。
5)婚姻を継続しがたい「重大な事由」があること
法律で定められた離婚事由の中では、もっとも曖昧なものがこの「婚姻を継続しがたい重大な事由」です。
明確な判断基準がなく、裁判所に提出する証拠を集めるうえで、何を集めればよいのか分かり難い部分も多くなります。
a.DVやモラハラなどを原因とする場合
家庭内暴力やモラルハラスメントなどが日常的に行われれば、当然婚姻を継続しがたい重大な事由に当てはまります。このようなときには
・医師の診断書や負傷した時の写真
・暴言を記録したテープや詳しい記録、日記
このようなものを揃えます。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【DV・モラハラ】洗脳されてない?被害者のあなたがすべき証拠集めと慰謝料請求
b.アルコール中毒や薬物中毒
アルコール中毒や薬物中毒といったものは、強度の精神病ではなく、婚姻を継続しがたい重大な事由となります。
・アルコールをどのくらい消費したかが分かる領収書
・医師の診断書
このようなものを揃えます。
c.浪費癖、刑事訴追、性格の不一致、セックスレスなど
「婚姻を継続しがたい重大な事由」としてなかなか立証しがたいのがこのようなものです。
確かに結婚生活を送るうえで大きな問題となりそうでも、本当に婚姻関係が継続できないような理由なのかという点が分かり難い理由です。
ポイントとなるのは、これらの理由をきっかけとなって婚姻生活が破たんするほどの「重大な事由」に発展したかどうかを立証できるかです。
離婚理由で多い性格の不一致も、その状況が著しく、修復する余地がないと認められる必要があります。
婚姻を継続することがお互いに望ましくないとまで裁判官が思うような証拠をそろえる必要があります。
難しいと感じるときには、法律の専門家である弁護士に相談をしてみることを強くおすすめします。
用意した費用や書類をまずは家庭裁判所に持参し、いよいよ離婚裁判が始まります。
4.流れはこうなる!離婚裁判の大まかな流れと終わり方
なんだかやることがいっぱい!っていう感じがするけど、弁護士さんに依頼したら頼もしいわよね。
法律の知識もたくさん必要になってくるから、お金はかかるけど弁護士さんに依頼する人は多いんだよ。
いざ離婚裁判が始まったら、どういう風に進んでいくの?
ここからはいよいよ、離婚裁判の流れについてご説明していきます。これから裁判を進めていくうえで、裁判所に裁判開始を訴えるあなたのことを「原告」と呼び、配偶者のことを「被告」と呼ぶことになります。
1.原告が家庭裁判所へ訴え提起を行う
2.第一回口頭弁論期日の指定
3.第一回口頭弁論
4.第二回口頭弁論
5.判決
おおまかな流れはこのようになっています。
今回流れの紹介では口頭弁論は第二回まで記載しましたが、第二回口頭弁論でも決着がつかない場合には、第三回以降の口頭弁論もあります。
流れに沿って詳しい内容を確認していきましょう。
1.原告が家庭裁判所へ訴え提起を行う
離婚裁判を行う上で必要になる書類を揃え、さらに費用の準備も終われば、あとは裁判所に離婚裁判を始めてもらうための申し込みを行うことになります。
裁判開始の申し込みの事を「提訴」といいます。
書類がそろっているということは、すでに離婚調停を終え、離婚調停が不成立となっているはずです。
日本では調停前置主義と言って、一部の例外を除けば調停不成立の事実がなければ離婚裁判を提訴できません。
訴状を提出する先は、家庭裁判所になります。日本全国は沢山の家庭裁判所がありますが、訴状を提出する先は、離婚裁判の当事者となる夫、または妻の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
住所地を管轄する家庭裁判所を調べる方法は、裁判所の公式サイト内にある裁判所の管轄区域を参考に調べてみてください。
参考URL:http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/index.html
2.第一回口頭弁論期日の指定
裁判所に訴えが認められると、裁判所から第一回口頭弁論の期日を知らせる呼出し状が郵送されてきます。期日は裁判所によって決定されます。
被告側にも同じように、第一回口頭弁論期日呼出し状が郵送されます。
被告側には呼出し状の他、訴状の写しも送られます。
被告はこの訴状に記載されている原告の主張に反論する「答弁書」を作成して裁判所に提出することになります。ここからいよいよ、離婚を巡った争いが始まると思いましょう。
3.第一回口頭弁論
第一回口頭弁論は、訴状を家庭裁判所に提出してからだいたい1か月後くらいに開かれることが多くなっています。以降も、審理は1ヵ月に1度のペースで行われます。
これはほぼ離婚調停と同じような間隔となっています。
1)審理の争点を整理する
口頭弁論での審理は、まず原告であるあなたが提出した訴状の内容を読み上げ、次いで被告となるあなたの配偶者の答弁書の内容を読み上げます。
これにより、今回の裁判で争う問題の争点を整理していきます。
2)原告側の証拠の提出
まずはあなたが揃えた証拠を提出し、裁判で争いたい内容についての事実が存在していることを証明していきます。
場合によっては証人に出廷してもらい、事実に関する証言を述べてもらうこともできます。
3)被告側の証拠の提出
次に被告側の証拠の提出も行われます。あなたの主張を否定する証拠書類をはじめ、こちらも証人が出廷して争点の事実を否定する証言を述べてもらうこともあります。
4)裁判官が納得するまで2)と3)を繰り返す
原告側からの証拠の提出と被告側からの証拠の提出は、裁判官が納得するまで行われます。
この辺りの駆け引きは、なかなか法律に詳しくない人が行うことが難しく、万が一あなたがこの裁判にあたって弁護士に依頼をしていないのに、被告側に弁護士がついていた場合などは、不利になってしまうこともあります。
口頭弁論には弁護士を立てていれば弁護士も出廷できますし、原告本人が出廷しなくても、弁護士が代理で出廷し裁判を進めることも可能です。
裁判官は弁護士の有無で判断を下すことはありませんが、原告の主張が確かに事実なのかという点を証拠により判断をします。
確実な証拠さえあれば被告側だけに弁護士がついている状態でも十分に戦える可能性はありますが、心理的な圧力を強く感じてしまう可能性もあります。論戦に負けないという強い意思も必要になります。
第一回口頭弁論は、まず裁判官が原告が主張するないようが正しいのか、離婚原因が存在したのかどうかについて判断がついた時点で終了となります。
4.第二回口頭弁論
第一回口頭弁論が終わってから約1か月後に第二回口頭弁論が開かれます。
離婚裁判は第一回口頭弁論で判決が出ることはほとんどないため、第二回口頭弁論に進むことになります。
1)準備書面の確認と書評
第二回口頭弁論では、第一回の口頭弁論を受け、原告側と被告側が作成する「準備書面」の内容を確認することになります。
準備書面というのは、裁判で自分の主張を述べたり、相手の主張に対する言い分を述べたりするための書面です。
第二回口頭弁論では、原告側が第一回口頭弁論で被告側が提出した答弁書に対しての反論を述べることが主なものになります。
原告側が記載する準備書面を「原告準備書面」といい、被告側が記載する準備書面を「被告準備書面」と呼びます。
第一回口頭弁論前に提出する訴状と答弁書に代わるもので、第二回口頭弁論以降はすべて準備書面といいます。
2)本人尋問
本人尋問はまずは原告がうけ、次に被告が受けることになります。証人がいる場合には、証人に対する証人尋問も行われます。
第二回口頭弁論も、基本としては裁判官が原告側の主張の内容が事実かどうかの判断がつくまで行われます。
判決を出せるまで続けられるため、第三回口頭弁論、第四回口頭弁論と離婚裁判が続いていくこともあります。
一般的には、早い人で半年ほど、長くかかる場合には2~3年程離婚裁判が続くこともあります。
5.判決
第一回口頭弁論で判決が出ることはほとんどありません。
第二回口頭弁論以降に、お互いの主張がしっかりと行われ、原告が主張する内容が事実かどうかの判断を裁判官がつけられたら、原告の離婚請求を認めるかどうかを決定する「判決」が下されます。
判決の内容について、不服がある場合には、判決が下されたあとに送達される判決書が送達された日から2週間以内に控訴を行います。
判決書が送達された日から2週間がたつと、判決は確定となります。
もちろん、被告側が判決書の送達日から2週間以内に控訴を行えば、いくら原告が控訴を行わなくても、判決は確定とならず、控訴審が開かれることになります。
判決が確定した後は、10日以内に離婚届と共に判決書の謄本などを届け出て離婚が成立します。
判決所の謄本があれば、離婚届に相手の署名・捺印がなくても離婚届が受理されて離婚は成立します。
判決以外にもある裁判の終わり方
裁判は判決によって終わると思われがちですが、実際には判決が出ない裁判の終わり方もあります。裁判の終わり方についてもご紹介します。
離婚裁判を提訴して、裁判を終わらせる方法には、
・判決
・和解
・認諾
・却下
という4つのものがあります。
2)判決
判決は裁判所が示す判断です。原告が主張する内容が事実かどうかの判断を裁判官が行って司法判断を示します。判決によって離婚が決まると、判決離婚が成立します。
2)和解
司法による判断ではなく、裁判の審理中に当事者同士が歩み寄り裁判を終わらせることを和解といいます。お互いの主張を尊重し、折り合いをつける方法です。離婚裁判では、和解によって裁判を終わらせると、和解離婚が成立することになります。
3)認諾
原告の主張を被告が全面的に受け入れる形で裁判を終わらせることを認諾といいます。離婚裁判では、認諾によって裁判を終わらせると、認諾離婚が成立することになります。
4)取下
認諾が被告側が全面的に原告の主張を受け入れるものですが、取下は原告が裁判所に訴えた内容を取り下げるものになります。
この場合はそもそも裁判自体を取りやめるため、離婚裁判の終わり方としては、離婚をするのかしないのかの判断はつきません。
原告側はいつでも取下げられますが、被告が準備書面などを提出した後は相手の同意がなければ取下できません。
離婚裁判では和解離婚が多い
離婚裁判では、審理を行いながらも裁判官はできるだけ和解での離婚を勧める傾向があります。
最高裁判所事務総局家庭局が公表している人事訴訟事件の概況-平成26年1月~12月-を見てみると、8,912件の離婚訴訟のうち、和解という終わり方となったのは4,011件で、判決によるものが3,844件です。
審理中に裁判官は原告側、被告側の様子を見ながら、適切な時期に和解による結審を進めてくることが多くなります。これを和解勧告といいます。
判決離婚に比べると、和解離婚は精神的、肉体的、時間的な負担が減り、離婚裁判の長期化も避けられるというのがその理由といえます。
5.どのくらいの期間がかかる?離婚裁判にかかる時間
ただ、時間がかかることが多いんだ。
まさか何年もかかるわけじゃないわよね?
裁判官が精神的、肉体的、時間的な負担を軽減するために、離婚裁判では和解勧告を行うことがあることは先ほどご紹介しました。裁判官がこのような配慮をするほど、離婚裁判は時間がかかります。
ここで少し振り返ってみましょう。
離婚裁判を提訴してから、第一回目の口頭弁論、つまり裁判所での審理が始まるまでには、約1ヵ月かかります。そして、審理と審理の間も大よそ1ヵ月かかります。
口頭弁論は最低でも2回は開かれますので、ここまでで最低でも2ヵ月はかかることが分かります。
ですが、離婚裁判は離婚問題だけではなく、財産分与や養育費の問題、慰謝料の問題なども併せて審理されることも多く、実際には第二回口頭弁論で終了することも少なくなっています。
1.離婚裁判の平均審理期間は約12ヵ月
最高裁判所事務総局家庭局が公表している人事訴訟事件の概況-平成26年1月~12月-を見てみると、離婚裁判の平均審理期間は12.0ヵ月となっています。
平均審理期間というのは、離婚裁判を提訴してから、和解又は判決で裁判が終わるまでの期間を表しています。
この12.0ヵ月というのは弁護士が代理で出廷していたり、途中で和解離婚になったりした離婚裁判も含まれています。
裁判が泥沼化しやすい、原告と被告がともに出廷し、口頭弁論で弁論を行った場合(対席かつ判決離婚)で、判決離婚に至ったという場合には、平均16.3ヵ月かかっています。
実は、平均審理期間は、前年は11.7ヵ月、対席かつ判決離婚の場合は15.9ヵ月。さらにその前年の場合には11.6ヵ月、対席かつ判決離婚の場合は15.9ヵ月。と徐々に伸びています。
離婚裁判自体の内容によっても、審理期間の長さは変わってきますが、短い場合でも6ヵ月ほどかかり、長い場合だと3年くらいかかってしまうこともあります。
2.長期間の離婚裁判中の生活費の確保が必要
離婚裁判中も、仕事をしていて収入があるという場合には、自分の収入で生活ができますが、もしあなたが専業主婦や専業主夫だった場合、自分で生活を送っていくだけの収入を得られるでしょうか?
離婚裁判中も、婚姻中ということになるため、夫婦には扶養義務が生じています。
つまり、収入を得ている人は、収入を得ていない、もしくは著しく収入が少ない人に対して生活費を払い、生活に困らないようにしてあげる必要があります。
婚姻中の生活費は婚姻費用といって、夫婦が分担して生活費を出し合う必要があります。これは民法第760条にも規定されています。
もしあなたが離婚裁判の期間中の生活を送るために十分な収入を得られない場合には、離婚裁判の前の離婚調停の段階で「婚姻費用分担請求」を行っておくことがおすすめです。
離婚裁判の段階でまだ婚姻費用分担請求を行っていないという時には、別途「婚姻費用分担請求調停」を申立てる必要があります。
調停と裁判とは別々に行われることになるため、負担が大きくなってしまいます。この点は注意が必要です。
婚姻費用分担請求について詳しくご紹介している記事もありますので参考にしてください。
【婚姻費用分担請求】別居生活費の請求方法と知って得する5つのこと
6.離婚裁判をするメリットとデメリット
離婚裁判は確実に離婚できるといっても、そういった面でのデメリットもあるんだよ。
でもメリットもあるから、どっちも見ていこう!
離婚全体を見た時に、12%程度の夫婦が離婚裁判を行っています。今までご説明をしてきた通り、離婚裁判を起こし離婚をするためには費用が掛かったり時間がかかったりとさまざまなデメリットが存在しています。
ですが、離婚裁判を行う人がいるのは、離婚裁判をすることで得られるメリットもあるためです。
ここでは離婚裁判を行うことのメリット、そしてデメリットをまとめます。自分にとってはメリットとデメリットのどちらが大きいのかということを考えることが大切になります。
1.離婚裁判をすることで得られるメリット
まず離婚裁判を行うことで得られるメリットについてご紹介します。
- 相手の意思とは関係なく、離婚が成立する
- 証拠さえしっかりと揃えられれば相手に言い逃れをされる心配がない
- 法的な判断によって離婚が決まる
- 弁護士に依頼できる
離婚を裁判で決めるメリットは大きくこの4つがあります。それぞれどのような事なのかを詳しくご説明していきます。
1)相手の意思とは関係なく、離婚が成立する
離婚裁判は裁判官の司法判断によって離婚の決定が出ると、相手がいくら離婚をしたくないと言っても離婚ができます。
もちろん、家庭裁判所から高等裁判所、最高裁判所と控訴されることもありますが、法的根拠があり、証拠なども揃っていれば、離婚ができます。
確実に離婚したいという方にとっては、これ以上のメリットはないといえますね。
2) 証拠さえしっかりと揃えられれば相手に言い逃れをされる心配がない
裁判で離婚を成立させるためには、はやり法的な離婚原因があることを立証する必要があります。
立証すること自体は難しい部分はありますが、逆に言えば証拠さえしっかりと揃えられれば、いくら相手が言い訳をしたり、うそを言ったりしても、言い逃れはできません。
誰の目から見ても、相手に離婚原因があることが分かる証拠さえ揃えられれば、離婚という結末が確実に手に入ります。
4)法的な判断によって離婚が決まる
裁判で決まった離婚という結末は、法的な根拠を持つ決定事項です。
上告をして上位裁判所で異なる判決が出ない限り、相手がいくら異議申し立てを行ったとしても、あなたは婚姻を解消し離婚できます。
調停で離婚を話し合う段階でも、調停委員はあくまでも夫婦の言い分を聞き、アドバイスを行ってくれる、意見をまとめてくれるにとどまりますが、裁判では裁判官が判断をつけてくれます。
万が一相手が裁判で決まった決定事項を守らなかった場合には、法的措置を講じてもらうこともできます。情にとらわれることなく、証拠によって離婚を決定できます。
離婚裁判では婚姻の解消だけではなく、財産分与、慰謝料の請求、養育費の請求など金銭が関係する決定もあります。このような決定により約束した支払いが、万が一滞るような時には、強制執行をして貰うこともできます。
4)弁護士に依頼できる
離婚は基本的に夫婦本人の話し合いで決めるものです。
離婚調停も場所が家庭裁判所であり、間に調停委員が入るという環境になりますが、代理人を立てて行うものではなく、あくまでもあなたと配偶者という夫婦の話し合いになります。
ですが、裁判の場合には、弁護士を立てて弁護士の知恵や知識をフル活用できます。あなたが離婚したいと考え、確実に離婚できる証拠をそろえられれば、弁護士が非常に強い味方となって勝訴に向かって一緒に戦ってくれます。
もちろん、同じように相手も弁護士を立ててくる可能性もありますが、離婚を提訴する前に十分に準備を行ってきたあなたの方が、信頼する弁護士と十分に話し合いをする時間もあります。
自分にとっていかに有利な条件で離婚するかは、依頼する弁護士の方の知識や経験によるものも大きくなります。
単純に弁護士に依頼すればよいわけではなく、離婚問題に詳しい弁護士を探し、しっかりと相談をしたうえで依頼をすることも大切です。
2.離婚裁判をすることのデメリット
離婚裁判を行うとメリットだけではなくデメリットも出てきます。
- 離婚をするためには法的離婚原因が無ければならない
- 有利に進めるために弁護士に依頼をすると多額の費用がかかる
- 裁判では徹底的に争うことになる
- 長期間にわたる裁判となることがある
- 精神的な疲労が強くなる可能性がある
- 裁判は非公開ではないため、プライバシーの問題が出てくる
- 不本意な結果でも従わなければならない
これらについて具体的にご説明します。
1)離婚をするためには法的離婚原因が無ければならない
離婚裁判を提訴するためには、民法770条に定められている法的な離婚原因が無ければなりません。
協議離婚や調停離婚では、ここまで明確に法的な離婚理由がなくても離婚できるのに対し、裁判では司法判断を下すためにも、離婚になる根拠が必要です。
曖昧な原因で離婚裁判を起こすことはできません。
2)有利に進めるために弁護士に依頼をすると多額の費用がかかる
もちろん、弁護士をつけなくても離婚裁判を進めていくことはできますが、夫婦の話し合いで決まる協議離婚や調停離婚と異なり、裁判では法的な知識が必要になってきます。
あなたが弁護士を立てずに裁判を開始し、もし被告側は弁護士を立ててきたとしたら、法的な知識の少なさによって、どんなにあなたが証拠を出してきたとしても、それを否定する材料を次々に出されてしまう危険性があります。
裁判を有利に進めるためには、弁護士の力はとても重要です。ですが、弁護士を立てればどうしても費用が掛かります。100万円以上の費用が必要になるケースもあります。
3)裁判では徹底的に争うことになる
協議も調停もあくまでもお互いが離婚についての話し合いをする場でした。ですが、裁判は離婚するかしないかという決着をつける場です。
さらに、金銭面についても、いかに有利な条件で離婚をするかを争うことになります。
有利な条件で離婚するためには、相手の悪い部分を徹底的にあぶり出し暴き出す必要がでてきます。また、同時に相手も同じようにあなたの悪い部分などを徹底的に指摘してくる可能性もあります。
精神的に大きなダメージを受けてしまう危険性もでてきます。
4)長期間にわたる裁判となることがある
離婚調停も半年ほどかかったという人もいると思いますが、離婚裁判となるとさらに長い期間が必要となる可能性があります。
前にもご説明しましたが、離婚裁判は平均12.0ヵ月といった長期間かかります。場合によっては3年程掛かってしまうというケースもあります。
婚姻関係の解消だけではなく、金銭面の交渉など難しい問題もあれば、裁判は長期化します。
弁護士を立てている場合には、弁護士が出廷する機会が増えればそれだけ日当や交通費がかさみ、金銭的な負担も増えることになります。
5)精神的な疲労が強くなる可能性がある
相手との徹底的な争いや、長期化する裁判に、精神的な疲労を感じる人はとても多くいます。非常に強いストレスのために、ストレス障害になってしまい、仕事が出来なくなってしまう人もいます。
それほどに、離婚裁判を勝ち抜くには強い精神力も必要になります。
絶対に離婚したい。新しい人生の第一歩を踏み出したいという方でなければ、離婚裁判に勝ちぬくことが難しいといえます。
6)裁判は非公開ではないため、プライバシーの問題が出てくる
裁判後基本的には非公開ではなく公開で行われます。これは不正を防ぐための仕組みなので、プライバシーがさらされてしまう可能性があります。
例えば、離婚裁判を行っていることを知り合いが知った場合、興味本位で裁判を傍聴することもできてしまいますし、全く無関係の人が裁判を傍聴することも考えられます。
泥沼の争いを誰かに見られてしまう。プライバシーが保てないという問題もあります。
7)不本意な結果でも従わなければならない
離婚裁判を提訴したからと言って、必ずしもあなたに有利な条件での決着がつくわけではありません。場合によっては真逆の結果が出ることもあります。
そのような不本意な結果でも、裁判で下された判決には従わなければなりません。
不服があるときには控訴ができますが、最終的に結審した内容には従う必要があります。
3.メリットとデメリットのどちらがあなたにとって大きいのか
離婚裁判は今までの話し合いとは異なり、費用も掛かりますし精神的な負担も非常に強いものになります。
それでも、離婚したいという強い意思があり、離婚できるだけの証拠をそろえられるようでしたら、裁判は離婚問題を解決できる手段の一つです。
メリットの方が大きいのか、デメリットに耐えられるのかなど、あなたにとってどちらがより大きいのかをよく考えて、離婚裁判に挑むことが必要です。
7.裁判を有利に早く終わらせる6つのポイント
裁判を有利に早く終わらせるポイントもあるから、それもあわせて確認してから、離婚裁判に向けて準備をするかどうかを決めるといいかもしれないね!
平均でも12.0ヵ月、もめてしまうと3年もかかってしまうことがある離婚裁判ですが、できるだけ早く終わらせる。できるだけあなたにとって有利に終わらせるためにはいくつかのポイントがあります。
ここでは裁判をあなたにとって有利に、そして早く終わらせるためのポイントをまとめていきます。
- 和解を受け入れることも視野に入れておく
- 裁判で採用される決定的な証拠を前もって集めて置く
- 財産分与について詳しく提示しておく
- 子どもの親権についてはどちらが持つかは決めておく
- あなたの収入が相手よりも低い時は、婚姻費用分担請求を調停の段階で行っておく
- 弁護士を立てる。特に離婚問題が得意な弁護士に依頼をする
6つのポイントについて、詳しくご説明していきます。
1.和解を受け入れることも視野に入れておく
離婚裁判を提訴して、判決がでるまで争うと、どうしても精神的にも肉体的にも負担が大きく、さらに長期化してしまいます。そのため、裁判官も和解案を提示し、和解勧告を行ってくることがあります。
和解勧告を受け入れるかどうかはあなたやあなたの配偶者といった当事者の自由ですが、和解勧告が出るということは、裁判官が当事者が歩み寄りをすることで解決できると判断をしている状態です。
裁判を長引かせるよりは、和解案を精査して自分にとって納得できるものかを確認し、納得できるものであれば受け入れることで、長期化を避けられます。
どうしても納得しがたいというケースを除けば、和解勧告を受け入れて和解離婚にすることで、裁判の早期終了ができます。
2.裁判で採用される決定的な証拠を前もって集めて置く
裁判では、提訴をした原告の主張が正しいのかどうかを判断することになります。
では、原告の主張が正しいかどうかの判断をどのようにするのかとえいば、主張が正しいことが立証できる証拠がしっかりと揃っていることが必要です。
被告側が言い逃れできないような事実がしっかりと証明されていれば、裁判官はあなたの主張が正しいとすぐに判断を下せるため、早期解決が可能になります。
争う必要もなくあなたにとって有利に裁判を終わらせるためには、決定的な証拠が必要です。
すでに裁判が始まってしまうと、相手も警戒をして証拠集めが難しくなるケースもありますので、裁判を始める前に証拠集めを行っておきましょう。
3.財産分与について詳しく提示しておく
夫婦の共有財産の中でも、現金や預貯金であればどのような割合で分けると決めてしまえば、分けることは簡単です。
ですが、家電や不動産、車といったものは、物理的に分けられない物も多く、財産分与でもめる原因となるケースも多くみられます。
あらかじめ、評価額を算出し、どの財産をどちらが貰うのかということを提案しておくことで、離婚裁判の中で財産分与が争点となった場合には、裁判の長期化を避ける材料となります。
評価額なども併せて提示することで、公平な財産分与案を提示していることが分かりやすくなります。ぜひ財産分与案をあらかじめ用意し提示できるようにしておきましょう。
4.子どもの親権についてはどちらが持つかは決めておく
あなたが父親の場合でも、母親の場合でも、わが子と離れて暮らすことを望まないという人以外は、できれば一緒に暮らしたい、成長を見守っていきたいのではないでしょうか。
離婚については納得できても、子どもと暮らせなくなってしまうことに納得できないということで、離婚裁判が長期化する例は決して少なくはありません。
親権争いのために裁判が長期化・泥沼化することは多くなっています。
親権者を決めるときには、子どもにとってどちらの元で暮らす方が適しているのかということがポイントになってきます。
裁判所では、母性優先の原則といって未成熟の子どもの生育にとっては、母親と共に暮らすことが必要と考える傾向があります。あなたが父親だった場合には、親権を取りたいという場合にはやや不利になる可能性もあります。
ですが、今まで親が子供に対してどのような態度で接していたのか、離婚の原因がどちらにあったのか、子どもがどちらと暮らしたいと望んでいるかなど、さまざまな判断材料により、どちらに親権を与えた方が子どもにとってよりよい生育環境となるのかを考えます。
どうしても判断をつけるためには時間がかかりますが、あらかじめ親権について話し合いをしておき、どちらが持つかを決めておけば、裁判の争点となることを避けられるため、裁判を早く終了させられます。
5.あなたの収入が相手よりも低い時は、婚姻費用分担請求を調停の段階で行っておく
さまざまな手段を講じても、思い通りに進まないのが裁判です。ですが、この裁判中もあなたは生活をしていく必要がありますよね。
今までは主な収入源が相手方であり、あなたが自分の収入で暮らしていくことが難しい場合や、子どもを引き取っている場合などは、離婚調停の段階で婚姻費用分担請求を行っておくことが必要です。
実は婚姻費用分担請求を行っておくことで、相手方はあなたや子供たちの生活費を支払い続けなければなりませんから、経済的な負担がかかることになります。
離婚をすれば、今現在婚姻費用を支払っていても、あなたに婚姻費用を支払う必要がなくなります。経済的負担を軽くしたいのであれば、そうそうに離婚を受け入れることが必要になります。
あなたの生活を立て直すためにも、相手に経済的な負担を早く減らすために離婚を受け入れてもらうためにも、婚姻費用分担請求は行っておくことがおすすめです。
6.特に離婚問題が得意な弁護士に依頼をする
自分にとって有利に裁判を進めるためには、どうしても法律の知識が必要になってきます。
一般の人には分かり難い裁判に勝つためのイロハをしっている弁護士を立てることは、裁判を自分にとって有利な条件で早く終わらせるためには最も効果的です。
弁護士であればどのような人でも良いのではなく、離婚問題が得意という弁護士に依頼をする必要があります。
弁護士の中には民事訴訟に強い人、刑事訴訟に強い人など、それぞれ得意分野があります。刑事訴訟に強いものの、離婚問題はあまり得意ではないという人だと、思うような結果にならない可能性もあります。
弁護士を立てることで、裁判を有利に進めるために必要な事、分からないこと、進め方などあなたの身になって教えてくれますし、実際に有事な条件で離婚できるよう努力してくれます。
弁護士を立てるか立てないかはあなたの自由ですが、裁判を有利に、そして早く終わらせたい場合には、離婚問題に強い弁護士を立てることがもっとも重要なポイントになります。
まとめ
お金はかかるけど、調停が不調になったけど離婚したいって場合には、裁判をしたほうがいいような気がするわ。
さまざまな理由があり、協議によって離婚が成立しない場合には、調停や裁判など離婚を成立させるための方法があることは知っていても、実際に調停や裁判を行うことは非常に難しく、怖いというイメージを持っていたという方も多いと思います。
調停が不調になると、離婚をするためには裁判が必要になってきます。
ですが、あなたが離婚をしたいと思い、自分が離婚したいと考える理由が正当であることがしっかりと証明できれば、裁判官の判断によって無事に離婚が成立します。
離婚裁判はしっかりと準備を行い、離婚問題に詳しい弁護士を立てるといった対策をとることで、自分の主張の正当性を訴え、離婚が勝ち取れます。
新しい人生の第一歩を踏み出すための一つの試練とはなりますが、準備をしていこう、裁判を勝ち抜こう!と今考えているあなたなら、きっと無事に離婚を勝ち取れると思います。
一つずつ問題を整理して、ぜひあなたにとって明るい未来、新しい第一歩が踏み出せるよう、心から願っています。そしてこの記事を役立てていただければ嬉しく思います。