それでね、私が兄弟に、「離婚届の証人のところにサインして」って言ったら、「法的責任を負うから嫌」って断られたの!!
でも、私は両親には離婚の相談を一切していないし、知られたくないのよ・・・
リリ子さん、証人が法的な責任を負うということはないし、証人なら僕もなれるよ。
証人には法的な責任もなくて、身内じゃなくてもいいの・・・?!
離婚届の証人について知っておかないと協議離婚では困ってしまうから、しっかり知識をつけておくことをオススメするよ!
結婚をするときに婚姻届に証人が必要であることは、知ってる方も多いと思います。
しかし、離婚届にも証人がいるということを、知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。
かくいう筆者もいざ離婚を決意して、新しい人生のためにと離婚届に記入をしている時に、証人が必要であることに初めて気が付いて、あたふたしてしまった・・・という記憶があります。
- 一体誰に頼めばいいのだろう?
- 事情があって頼める人がいないときはどうしたらいいの?
- もし、自分で勝手に成り済まして書いてしまったらどうなるの?
などという疑問が浮かびました。
また、あなたの知人や友人が離婚をする際に、あなたに離婚届けの証人を頼んできたとしたらどうでしょうか。
もちろん大切な友人のためにできることはしてあげたいけれど、
- 証人になることによって何か責任が生まれるのだろうか?
- もしかして連帯保証人のような連帯義務がでることはないのかな?
- そもそも他人の自分が証人になっていいものなの?
などについては、正直なところ気になりますよね。
いまさら他人には聞けない離婚届けの証人に関して、大人がきちんと知っておくべきポイントを説明します。
これを読めば、離婚まであと一息のところで証人の件で離婚がスムーズにいかない!などというミスを防ぐことができます。
また、誰かに離婚届けの証人をお願いする(お願いされる)時に注意すべきことも、一緒に解説していきたいと思います。
目次
1.離婚届の証人は誰にお願いをするべき?誰でもなれる?
極端なことを言えば、リリ子さんと親しい人じゃなくて、全く知らない人でもOKだよ。
知らない人が証人だなんてアリなの?!
離婚届の証人を依頼するのは、どんな人にお願いするのが良いのでしょうか。
結論から言うと、離婚届の証人には”成人していれば”誰でもなることができます。
20歳以上であれば、なんの接点すらない通りすがりの他人をつかまえてお願いしたとしても、離婚届けの証人になってもらうこともできます。
しかし、人生において重要な節目の書類である離婚届の証人になってもらうのですから、誰でもいいというわけにはいかないですよね。
誰に証人を依頼するのかもやはり大切なことになってきます。
どんな人に離婚届けの証人になってもらうべきなのか
ではどんな相手に頼むと一般的に、どのようなメリットやデメリットがあるのかについてお話していきます。
*両親
やはり近しい身内であるお互いの両親を離婚届の証人に選ぶ人は多いです。
メリットとして、やはりお互いの結婚当初からずっと関わりがありお互いのことを理解している両親は信用もおけるということと、けじめとして報告の意味をかねて依頼する場合もあります。
また、デメリットとしては離婚という辛い選択肢に両親を巻き込んでしまうということで、心苦しい思いをお互いにしたり、反対されたりする可能性があることです。
離婚について意見されて、揉めごとになってしまうことを懸念して両親には依頼できないという考え方もあります。
また、自分の子が20歳を超えている場合は、自分の子に依頼するということも可能ですが、上記と同じようなデメリットが考えられます。
*友人や知人
親しい友人には離婚前から、夫婦間の悩みを相談をしていることも多いかと思います。そのため、離婚までの経緯を知っていることもあり、頼みやすいというメリットがあります。
しかし、デメリットとして証人という立場になることでのなんらかの責任義務があるのかなどの不安を持たせてしまうこともあるので、証人を依頼する場合はしっかりと事前説明をする事が大切です。
*兄弟や姉妹
両親にお願いして証人になってもらうよりも、兄弟や姉妹のほうが気を遣わずに依頼できるというメリットから兄弟や姉妹を選ぶ人も多いです。
実際に筆者も、姉妹で非常に仲が良いので妹とその彼氏に依頼しました。ただ、兄弟や姉妹がいなかったり、仲が悪い場合はそもそも選択肢に上がらないこともあります。
*近所の人や浅い付き合いの知人
もし、あなたに事情があって身内には離婚を知られたくないなどという場合には、ご近所の方や知人程度の付き合いが比較的浅い方に依頼するという選択肢もあると思います。
メリットとして細かな事情に深入りされないですむということがあります。
しかし、デメリットはやはり依頼する側もされる側も気が引けてしまうということです。そのため実際は、証人になってもらうことは難しいでしょう。
上記のように、誰でも離婚届の証人になることは可能です。
しかし、結婚届の証人は幸せな印象から快く引き受けてもらうことができても、離婚届の証人はマイナスの印象から引き受けてもらいにくいこともあります。
また引き受けてもらえたとしても、当然ながらあまり良い気持ちではないということがあります。
そのような相手の心境を考慮して、もし依頼した相手が証人を引き受けてくれた場合はしっかりとお礼の気持ちを伝えましょう。
相手と場合によっては食事などの謝礼も必要と考えていいくらいです。
謝礼の目安としては、親族などでは無い場合は食事をごちそうする、菓子折などを渡してお礼を伝えるなど感謝の気持ちが伝わるようにしておくことで、あとあと非常識な人だと思われないようにしておくことも、今後の人間関係を円滑にしておくためには必要なことでもあります。
離婚届の証人を依頼する時に重要なこと
誰に離婚届の証人になってもらう場合でも以下の2点についての説明をしておくことが重要です。
- 証人になってもらうことで、法的な責任を負うことはないということ
- この離婚届は虚偽ではないとう事実
堅苦しく感じるかも知れませんが、相手の心理的負担を減らしたり、法的な意味でも非常に重要なことです。忘れないようにしてください。
また、証人になることで法的な責任を追うことはないと言うことに関しては重要なことなので、また後半で詳しく説明します。
証人は2名必要です
離婚届の証人は2名必要です。
この2名は、夫側1名と妻側から1名と決まっているわけではなく、片側から2名立てることも可能です。
そのため相手が離婚の同意を渋っている場合など、相手方から証人を探して欲しいというような旨を伝えることも相手を動かす手でもあります。
人は頼られると重い腰を上げて意外に前向きに離婚も検討してくれるというパターンもゼロではないようですよ。
>離婚届の証人を探す前にやっておきたいたった一つのこと!
これを知っているだけで、離婚の準備がスムーズになります。
2.そもそもどうして離婚届けの証人が必要なの?
そこさえ満たしてたら誰でもいいのね。
でもさ~、誰でもいいっていう程度のものなら、証人なんていらないと思うんだけど・・・
でもね、離婚届の証人が必要な理由が、2つほどあるんだ。
そもそも離婚は当人同士のことなのに、なぜそこに証人を立てる必要があるのでしょうか。
それには、2つの理由があります。
【理由1】離婚届が虚偽であったり、夫婦どちらかが勝手に提出したものではないということを証明するため
第三者が証人として署名と捺印をすることで、離婚届が虚偽であったり、夫婦のどちらかが自分で相手の記入欄に勝手に記載をしてしまうことなどを予防するためでもあります。
【理由2】夫婦げんかなどその場の感情任せで離婚届を出すのではなく、充分に考慮した上で提出されたことを確認するため
第三者に証人となってもらうことで多少の時間ができます。
その間に離婚について自分自身も向き合うことができます。もし離婚届証人代行サービスに依頼する場合にはある程度の費用も発生することから冷静に判断できるきっかけにもなります。
(※のちほど、この離婚届証人代行サービスについては詳しく説明します。)
親しい人に依頼をする場合でも、離婚の経緯などを話すことになるため、少なからず考える時間ができることで、一時的な感情のみで離婚届を提出してしまうことを予防する効果が期待できます。
3.離婚届の証人が必要な場合と必要でない場合もある
でも僕は、この離婚届の証人は誰にも依頼していないけどね。
離婚届の証人は必ずしも必要なわけではなく、証人が必要でない場合もあります。
離婚届に証人が必要な場合
協議離婚の場合のみ離婚届の証人を立てる必要があります。
裁判所を通さずに夫婦での話合いによって離婚が決定する協議離婚では、上記にあげた離婚届に証人が必要な2点の理由から証人が必要になります。
離婚届に証人が不要な場合
調停離婚・審判離婚・判決離婚の場合は離婚届に証人を立てる必要がありません。
その理由は、この場合には家庭裁判所や調停委員が話合いに関わっていたり、訴訟手続きを家庭裁判所が進めることになるからです。
そのため、そもそも離婚届が虚偽ではないということと、離婚を熟慮してているということの証明になるため、証人は不要になります。
離婚届の証人の役割は、第三者の立場から夫婦の離婚する事実を確認するというものです。
いわば事実を確認するだけといったものではありますが、ただ適当に署名と捺印をすれば良いというわけではありません。
ある条件に当てはまることをしてしまうと、場合によっては罰せられてしまいます。
その条件とは、証人が夫婦が離婚に合意していないのを知っていながら、署名と捺印をした場合です。(このことについても、のちほど具体的な詳細を説明します。)
4.証人が見つからない場合や周囲に離婚を秘密にしたい場合
じゃあ、ゴン太さんは協議離婚じゃなかったから、証人はいらなかったのね。
やっぱり知らない誰かを道で呼び止めて証人になってもらうとか・・・?
リリ子さんみたいなケースでは、同じく知らない人に頼む場合でも、もっといい方法があるよ。
協議離婚をする時に証人が見つからない場合や、周囲には離婚を隠しておきたいので証人を依頼することができないという場合もあるでしょう。
そのような場合に利用できる2つの方法があります。
- 離婚届証人代行サービスに依頼する
- 弁護士に依頼する(離婚相談を行っていた場合などは受けてもらえる可能性があります)
上記の方法で解決することができます。
ではまずは、聞き慣れない人も多いと思われる①の離婚届証人代行サービスというものについてお話していきます。
離婚届証人代行サービスとは
個人もしくは行政書士や弁護士が行っているサービスです。
離婚届の証人欄に署名と捺印をしてくれます。基本的にやりとりは郵送で行われます。
料金の相場はどのくらい?
個人の業者の場合:証人1人分で5,000円~8,000円程度が相場です。
行政書士や弁護士の場合:証人1人分で15,000円~25,000円程度が相場です。
個人の業者の場合のほうが金額設定は比較的安めであることが多いです。
期間はどのくらいかかる?
依頼をしてから離婚届が返送されるまでの期間は、1週間以内に戻して貰えることが多く、素早い対応をしてくれるところが多いのもサービス利用のメリットです。
支払いの方法は?
離婚届証人代行サービスの支払い方法は、先払い・後払いと各事業所によってことなるので、あらかじめ確認しておきましょう。
離婚届証人代行サービスは違法ではない?
離婚届証人代行サービスは違法ではありません。
なぜなら、離婚届の証人は成人であれば誰でも可能だからです。
個人情報は守られる?
個人情報の取り扱いなどが不安に感じる場合は個人のサービスを利用するよりも、弁護士や行政書士に依頼する方が安心です。
弁護士や行政書士には守秘義務があるため個人情報は徹底管理されており、情報漏洩の心配がありません。
参考・参照:秘密保持契約書の達人:弁護士の秘密保守義務・秘密保持契約書の達人:行政書士の秘密保守義務
また、②の弁護士に依頼するという方法に関しては、弁護士によっては証人を引き受けてくれることもありますが、基本的には本籍地などの記載の必要があるため、断られる可能性が高いです。
5.自分で証人に成りすました場合はどうなる?
でも、当たり前だけど、お金がかかるのね・・・
あっ!!・・・ゴン太さん、私天才かも!
リリ子さん、証人は誰でもなれるとは言え、自分で証人に成りすましたら、違法行為になるよ。
しかも、違法行為ってどういうことよ!!?
「離婚届の証人を誰かに頼むのも面倒だし、嫌。それにいちいち高いお金を払ってまで代行サービスや弁護士に頼むのも嫌。それなら、もう自分で成り済ませて書いてしまえば・・・・。」
この記事を読んでいる人のなかにはそんな人もいるかも知れません。
しかし、その考えはとても危険です。
なぜなら、離婚届の証人の成り済ましが発覚した場合、法律で罰せられてしまうからです。
「協議上の離婚は、戸籍法の定めるところによりこれを届け出ることによって、その効力を生ずる。
前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上から、口頭または署名した書面で、これをしなけらばならない」
つまり、本人の了承を得ずに誰かを証人にして離婚届をねつ造した場合、虚偽の届出をしたことになり、これは犯罪行為になります。
発覚した場合には、懲役刑の有罪判決が下されます。
虚偽の離婚届を提出し、それが受理された場合には、刑法157条の公正証書原本不実記載罪に問われる可能性があります。その場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金刑になります。
ただ証人を探すのが面倒であるというだけでなく、相手が離婚に同意してくれないけれどとにかく離婚したいと思うあまりに成り済ましを考える方もいるかもしれません。
大変な状況や気持ちはわかりますが、やっと離婚ができるというタイミングで、証人探しを面倒臭がってしまったばかりにあなたが罰せられてしまっては意味がありません。
これもきちんとした幸せになるための、離婚の手続きの一部ととらえ離婚届の証人を探しましょう。
6.離婚届の証人になったら法的な義務や責任をおうことはあるの?
そういえば、私の兄弟が言った「法的責任を負うから嫌」っていうのは少し違う。ってゴン太さん言ってたけど、どういうこと?
離婚届は法的な意味合いをもつ、行政機関に提出するための重要な書類です。その離婚届の証人になる場合、「法的な責任や義務を負う必要があるのか?」ということが気になるのは当然のことです。
結論からいうと、離婚届の証人になることでそのような責任を負うことはありませんが、1点だけ注意して欲しいことがあります。
それは、もし離婚届を合意の上ではなく、片方が勝手に提出しようとしていた場合です。
その事実を承知の上で証人になってしまったら同罪の幇助(ほうじょ)罪などの罪に問われてしまうことがあります。
これは私文書偽造(刑法159条1項)、および偽造私文書行使罪(刑法161条1項)にあたります。
私文書偽造(刑法159条1項)・偽造私文書行使罪(刑法161条1項)
ただ証人が夫婦がしっかりした理由があり、きちんと合意の上で離婚をすると聞いていたのにそれが嘘であった場合は別です。
だまされて署名と捺印をしてしまって、それが犯罪行為にあたるという場合には、もちろん無罪となります。罪に問われることはありません。
しかし、そういった危険性を避けるためにも、証人となる際は夫婦お互いが同意している離婚なのかどうかについて、あらかじめ確認をしておくことが必要です。
7.証人が離婚届の記入欄に書くこと&用意するものは?
じゃあ私の兄弟には、ちゃんと合意の上で離婚届を提出することを説明さえすれば、何も心配いらないってわけね。
でもゴン太さんが証人になってくれるなら、そのほうがいいや。
もしかして、ゴン太さんが書きたくない内容が含まれてるの??
離婚届の証人になる時に、証人の記入欄に書くことと必要なものを説明します。
証人が離婚届に記入欄に書く5つのこと
・署名
・押印
・生年月日
・住所
・本籍地
証人が離婚届の記入にあらかじめ準備しておく必要があるもの
印鑑
もし、片側の両親など苗字が同じ2名が証人になる場合は、それぞれで別の印鑑を用意する必要があります。認印で問題無いので2本用意します。
本籍地が分かるもの
記入欄があるため、自分の本籍地がわかるようにしておくことも必要です。
本籍地が未記入で提出すると受理して貰えなくなることもあるため注意してください。
法務省:離婚届けの証人記入欄の記入例
上記URLに記入例がありますので参考にしてみてください。
見落とされがちな離婚準備についても、しっかりチェックして有利に離婚を進められるようにしたいですね!
>離婚準備であなたが今スグやっておくべき「たった1つのコト」とは?
まとめ
つまり面倒ってことね!!
今日勉強した証人代理サービスに頼むから!!!
今回は離婚届の証人に関しての説明をしてきました。
どんな関係の誰に証人を依頼するのが良いのか、また証人を依頼できる人がいない場合など、人それぞれ一概に誰に依頼するべきと言い切れないであろう、さまざまな状況があると思います。
しかし、なりすましで証人欄を記載してしまった場合などの危険性など、ちょっとした出来心で犯罪行為になってしまうこともご理解いただいたでしょうか。
これからの人生の再スタートのためにも、離婚届の証人を誰かに依頼する場合は、引き受けてくれた相手にたいしての感謝の気持ちを必ず伝えるようにしましょう。
虚偽がないこと伝えることもお互いにとって非常に重要です。
離婚届証人を依頼する場合も依頼される場合も、離婚届という非常に重要な意味合いを持つ書類にたいする知識は必要です。
あなたがもし誰かに、離婚届の証人を依頼するためにこの記事を読んでいるとしたら、離婚というゴールまではあと少しです。
正しい知識と事前準備で幸せな離婚を実現して、人生の再スタートが切れるように応援しています。